仙台市の協力金・支援金、進まぬ支給 「資金早く」事業者不安

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、仙台市が事業者向けに用意した「地域産業協力金」「地域産業支援金」の支給が遅れている。5月13日の受け付け開始から3週間で申請件数は1万件を突破。市は「想定以上に件数が多く、書類の不備への対応にも時間を取られている」と釈明し、態勢強化に乗り出した。

 市によると、5月末時点で協力金の申請は5562件、支援金は5779件で計1万1341件に達したが、支給件数は計751件にとどまる。
 協力金、支援金とも支給は「申請受け付けから原則2週間以内」としているが、5月13~17日に申請があった4796件のうち、2週間後の31日までに16%程度しか支給できなかった。
 青葉区で塾を経営する50代男性は簡易書留で協力金の申請書を郵送し、5月15日午前に届いたことを確認したというが、19日後の6月3日現在も支給はない。
 「現在は無収入で、協力金を固定費の支払いに回せると当てにしている。申請書類の審査がどれくらい進んでいるのか状況が分からない」と不安を口にする。
 市は支給が進まない要因に協力金は申請の5割、支援金は4割を占める書類不備の多さを挙げる。担当者は「不備のない人への支払いを優先している。不備があった場合は最低4、5日は遅れる」と説明する。
 遅れを挽回するため、市は6月から事務処理の改善に着手。銀行口座の通帳や本人確認書類の写しはあるが、申請書に口座番号や住所の記載がないなど「軽微なミス」は市側で補い、問い合わせ件数を減らした。
 人員態勢も50人から70人に増強。1日200件程度だった書類審査の処理件数を4倍の800件程度に向上させ、1週間の支給件数を3000件まで増やせる見通しとなった。
 5月中は週1回だった口座への振り込みも6月からは週2回に増やし、一刻も早く運転資金が必要な事業者のニーズに対応する。
 市は申請書作成などに関する電話相談を平日午前8時半~午後5時、専用ダイヤルで受け付けている。連絡先はナビダイヤル(0570)085894。

[地域産業協力金・地域産業支援金]仙台市が創設した新型コロナウイルス感染症の影響を受けた市内の事業者向けの支援制度。協力金は4月25日~5月6日、県の休業・時短営業の要請に応じた事業者に40万円(2施設以上は80万円)支給する。支援金は協力金を受け取らないNPO法人、フリーランスを含む減収事業者に20万円を給付する。申請期限は協力金が6月15日、支援金は7月15日(ともに当日消印有効)

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