仙台市の宿泊税、零細は免除も 宿泊料金が一定額以下の場合

仙台市がホテルや旅館の宿泊者1人1泊200円を課す内容で調整を進める独自の宿泊税を巡り、市は8日、零細宿泊事業者に配慮し、宿泊料金が一定額以下の場合に徴収を免除する「免税点」を設ける方針を明らかにした。修学旅行は課税しない方向。徴収を担う事業者の負担が過大にならないよう、宿泊税の検討を進める県と制度や時期をそろえる考えも示した。

 市役所であった交流人口拡大推進検討会議の最終会合で、市が委員に説明した。免税点の設定は「一定の合理性がある」と、条例で定める意向を盛り込んだ。

 教育旅行の課税免除は「適当」と明記。「東日本大震災の遺構を巡る教育旅行の誘致は政策的に重要で高い公益性がある」と強調した。部活動や各種大会への参加といった教育活動も免除の対象とするかどうかは「慎重に検討することが望ましい」と記述した。

 委員からは「宿泊税があるから仙台を選ばないという人は少ない。まちの魅力を上げるため、税収の活用策や効果検証の議論を深めるべきだ」と先を見据えた意見が上がった。「消費マインドに水を差す」と反対の姿勢を貫く委員もいた。

 県が2020年3月、新型コロナウイルス禍を理由に取り下げた宿泊税条例案は1人1泊3000円以上の宿泊につき300円を課し、学校の教育活動は免除対象だった。市は今後、免税点や課税免除の詳細を固め、市内の税収を分け合う割合などを県と協議する。

 同会議会長の吉田浩東北大大学院経済学研究科教授(公共経済学)は終了後に「報告書は反対意見を含めて取りまとめるが、宿泊税の役割や機能は一定認められた」と述べた。柳津英敬文化観光局長は条例案を市議会に提出する時期を「県と同じタイミングが望ましい」と言及した。

 市は1人1泊200円の税額と目標に掲げる年間の市内宿泊者数650万人から、年13億円の税収を見込む。徴税費用の7000万円を差し引いた12億3000万円が市の観光振興策に活用できると想定する。

旅行者の80%超が「200円」以上容認 仙台市アンケート

 仙台市は8日、宿泊者1人1泊200円を課す市独自の宿泊税の導入に向けた検討会議で、市内を訪れた旅行者を対象に対面で実施したアンケート結果を公表した。宿泊税として容認できる金額の回答は「200円」と「300円」がそれぞれ3割を超えた。

 最多は「200円」の34・3%。続いて「300円」が31・4%、「500円」が8・5%で200円以上の合計が80・7%を占めた。「払いたくない」は4・4%にとどまった。

 宿泊税の活用に望ましい施策(複数回答)は「温泉地での滞在促進」が42・0%、「青葉山エリアの整備」が37・6%、「市街地の活性化」が32・9%、「オフシーズンの対策(宿泊割引キャンペーンなど)」が27・2%の順となった。

 アンケートは3月9、13、16の3日間、JR仙台駅前や仙台国際センター、秋保・里センターなど5カ所で行い、計566人が回答した。回答者の内訳は県外在住が86・6%で、観光かビジネス目的が88・7%、市内宿泊が78・6%。

 市は宿泊税案へのパブリックコメント(意見公募)の結果も公表した。大部分が反対意見で「一部都市が導入の理由としたオーバーツーリズム(観光公害)になっていない」「宿泊、観光客の減少を懸念する」などと指摘。「まったく気にならない」「また来たい観光地づくりに使われればいい」など肯定的な考えは少数だった。

 徴収方法を巡り旅行者や宿泊事業者の負担軽減を求める声も寄せられた。「チェックイン時よりも予約時に宿泊代金と合わせて決済した方が便利」「徴収に手間と時間がかかるため、ホテル、旅館に手数料を支払うべきだ」との提案があった。

 パブコメは2月28日~3月28日に実施し、市内外の305人から420件の意見が寄せられた。

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