仙台市のガス事業民営化で、事業継承者を審査した専門家でつくる民営化推進委員会(委員長・橘川武郎国際大副学長)は7日、最優秀提案者を「該当なし」とする答申書を郡和子市長に提出した。
東北電力、カメイの地元2社と東京ガス、石油資源開発(東京)の4社グループが唯一、事業継承者の公募に応じたが、200点満点の審査で評価は半分以下の85・3点にとどまった。
計画見直し迫られる
市は答申を踏まえ、早急に対応を検討するが、2022年度中を目指した民営化計画は、大きく見直しを迫られることになる。
橘川委員長が市役所を訪れ、答申書を手渡した。推進委によると、東北電グループは譲り受け希望価格を最低譲渡価格と同額の400億円と提案。60点を配分をしたが、価格の上積みがなく採点は0点だった。
安定供給と保安体制は評価したものの、譲渡後5年間で約2万件の顧客を失う事業計画が示され、民営化の目的の一つとした「ガス事業の永続的発展」の基本的な趣旨が十分にくみ取られていないと判断した。
電気やLPガス、灯油とのセット販売など提案があった新サービスは「具体性に欠ける」と指摘し、料金の引き下げを「明示すべきだった」と苦言を呈した。
答申書は「リスク管理に重点を置いた『守り』の印象が強い。市民、ユーザーに民営化のメリットが具体的に実感しにくく、非常に残念」と提案内容を酷評。「苦渋の選択だが(最優秀提案者は)該当なしとするのが適当」と結論付けた。
今後に関しては「経営形態の見直しはやはり必要。適切なタイミングを見定め、民営化を進めることが肝要」などと提言した。
郡市長は答申後の取材に「大変厳しい内容だが、民営化の目的に沿わないなら致し方ない。重く受け止め、急ぎ最終判断する。民営化が必要との気持ちは変わらないが、今回の結果を検証しなければならない」と語った。
[仙台市ガス民営化]
2019年2月、郡和子市長が事業継承者の公募再開を表明し、7月に専門家の民営化推進委員会を設置。事業提案を総合的に審査する「公募型プロポーザル方式」で、20年9月に公募を開始した。東北電力、東京ガス、石油資源開発(東京)の3社は08年度の前回公募時も唯一応募し、リーマン・ショックに端を発した景気悪化を理由に途中で辞退した。市ガスは仙台、多賀城など7市町村に供給する。総需要家戸数は約34万戸と公営で全国最大の規模を誇る。
【仙台市のガス事業民営化を巡る動き】
2005年1月 藤井黎市長(当時)が民営化方針を表明
08年8月 事業継承者の公募開始
09年1月 唯一応募の東北電力、東京ガス、石油資源開発の3社グループが辞退、民営化は白紙
17年4月 都市ガス小売り全面自由化
18年4月 液化天然ガス、マレーシアLNG社と売買契約を更新(10年間)
19年2月 郡和子市長が公募再開方針を表明
7月 専門家の民営化推進委員会が発足
12月 推進委が22年度の事業譲渡を答申、市が民営化計画を策定
20年8月 推進委が事業継承者の公募条件を答申
9月 事業継承者の公募開始(2回目)
10月 東北電、東京ガス、カメイ、石油資源開発の4社グループが応募
21年2月 応募者の最終提案審査書類の提出期限を延長(最終的に3カ月余り延長)
9月 推進委が事業継承者「該当なし」と答申
やはり、共産党が仕切っているから、一般企業とは大きな隔たりが出ると思う。SDGsの考えにもガスは合わないし、早急に共産党政権は退陣を。