仙台市ガス局が発表した6月の都市ガス料金は10カ月連続の値上がりとなった。料金は原料の液化天然ガス(LNG)の輸入価格を基に決まるが、ロシアのウクライナ侵攻などの影響で価格高騰に歯止めがかかっていない。ガス料金の家計への負担増は、当面避けられそうにない。
標準家庭で6272円
4月28日に公表した6月の料金(1カ月29立方メートル使用の標準家庭)は6272円で、前月に比べ23円上昇した。1年前の2021年6月と比較すると1057円高い。値上げは同年9月から続く。
過去2年間の仙台市ガス料金と、過去3カ月の平均値から算出する1トン当たりの平均原料価格の推移はグラフの通り。
ガス料金は、LNGの輸入価格などを反映した平均原料価格を踏まえ2カ月後の料金を決める。例えば6月の場合、1~3月の平均原料価格が対象となる。
料金引き上げの背景には、新型コロナで落ち込んだ燃料需要の世界的な回復基調がある。そこにウクライナ情勢が拍車をかけた。大手ガス会社などはLNGを短期のスポット市場で調達し、市場全体の価格が押し上がっている。
市ガス局は27年度まで10年間、マレーシアからLNGを輸入する長期契約を結んでおり、調達量は全体の7割弱を占める。同業他社に比べ調達コストは抑えられるが、長期契約の目的は「必要な供給量の確保」(経営企画課)で料金への恩恵は薄い。
円安も追い打ちをかける。4月下旬、円は20年ぶりに130円台を付けた。LNG取引はドル建てのため、さらなる料金上昇の不安要因になる。
中鉢健嗣ガス事業管理者は、「原料価格の高騰や円安は想定を超える速さで進んでいる。値上げが続けば、ガスの利用を控える動きにつながりかねない」と懸念する。