仙台市バス、全46路線赤字 地下鉄東西線開業響く

仙台市のバス事業が2016年度、全46路線で赤字を計上したことが、市交通局が公表したデータで明らかになった。全路線が赤字に陥ったのは記録が残る00年度以降初めて。慢性的なバス離れに、15年の市地下鉄東西線開業に伴う黒字路線廃止が拍車を掛けた。市交通局は減便による収支改善を目指すが利用者の反発も予想され、財務体質の改善に向けた道のりは険しそうだ。

市交通局は路線別に、100円の収入を得るために要する費用「営業係数」をまとめている。東西線開業に伴う15年のバス路線再編によって、同線沿線の黒字路線が廃止され赤字路線が残った。バス事業全体の営業係数は164。
営業係数の上位、下位各5路線は表の通り。ワースト1位の八ツ森線(作並駅-八ツ森など)では100円を稼ぐのに1826円かかる計算だ。最も効率が良い桜ケ丘線(仙台駅前-桜ケ丘七丁目など)でも111だった。
運行本数が多いほど全体の収支に影響し、単年度赤字が最も大きい路線は営業係数136の鶴ケ谷・南光台線(仙台駅前-旭ケ丘駅など)。同線の赤字額は2億8308万円に上った。
交通局によると、市バスの1日当たり乗客は1980年の30万1000人をピークに減少し、17年度は10万3000人を見込む。
バス離れの背景にはマイカーの普及に加え、87、15年に開業した地下鉄2路線の影響も大きい。市は地下鉄南北線と東西線が大量輸送を担い、各駅を拠点にバスが支線の役割を果たす分担像を描く。しかし、実際には客を奪い合う構図となっている。
市バス事業は16年度まで10年連続で赤字計上し、累積赤字は56億8000万円に膨らむ。市は17年度予算でバス事業に支出する112億円を、21年度には102億円に減らす方針だ。
市交通局が路線別営業係数を公表するのは異例。同局は「需要動向に応じた便数調整を段階的に行う」と減便に言及し、係数の公表を通じて利用者の理解を得たい考えだ。公表は今後も続けるという。

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