仙台市バスの運賃、26年10月から15%値上げへ 当初計画の2倍以上に

仙台市交通局が市バスの運賃を2026年10月に全面改定し、乗車料収入全体で15%程度の増収を図る方針を固めたことが27日、分かった。事実上、運賃の引き上げ幅も15%が一つの目安となるもようだ。現計画は「26年度に7%」と見込んだが、コロナ禍で落ち込んだ乗客数の回復が鈍く、より踏み込んだ運賃改定が必要と判断した。

 市バスの運賃引き上げは、消費税率アップに伴う改定を除くと1995年以来となる。具体の改定幅は国への認可申請が必要な普通旅客運賃、市中心部をエリアとする「120円パッ区」の均一運賃など種別ごとに今後検討する。

 市が目指す「子育てが楽しいまち」の取り組みの一環として、市バス全線乗り放題の通学定期券「学都仙台 市バスフリーパス」(1カ月5970円)は価格を据え置く見通し。

 市交通局は21年3月、「交通事業経営計画」(21~30年度)を策定した。利用者が25年度にコロナ禍前の水準に回復すると想定。26年度に7%の運賃改定を行うことで、資金不足比率を経営健全化団体の判断基準となる20%未満に抑えられると試算していた。

 利用者数は20年度の2790万人から23年度には3394万人に増えたが、コロナ禍前の19年度の約9割にとどまる。交通局は実績を踏まえて計画を見直し、今後も19年度の水準に戻らないと推計。物価上昇が経営面に与える影響も考慮した。

 70歳以上の市民が市バスや市地下鉄を低額で利用できる敬老乗車証の負担割合が今年10月、10%から25%に引き上げられた。利用者減の要因だが、交通局は5年後の31年度には影響が解消されるとみている。

 26~30年度は国の特別減収対策企業債と交通事業債の償還が資金繰りを一段と圧迫する。市は一般会計から繰り入れていた従来の補助金とは別に、5年間で40億円規模の追加支援を行う方向で調整する。

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