仙台市バス全44路線が2年連続で赤字 21年度、通勤・通学需要は回復傾向

仙台市交通局は2021年度決算に基づき、市バスの路線別の収支状況を示す「営業係数」をまとめた。新型コロナウイルスの影響で利用者数が落ち込んだ20年度に比べ、9割の路線は収支が改善したものの、コロナ以前の19年度の水準までは戻らず、全44路線が2年連続で赤字となった。

 営業係数は100円の収入を得るためにかかる費用で、100を超えると赤字を意味し、数値が大きいほど採算性が良くない。

 21年度の路線別係数は表の通り。全路線の平均は180で、20年度の193から13ポイント改善した。

 通勤・通学需要の回復傾向を反映し、野草園線、工学部・宮教大線、北山・子平町線など39路線は係数が改善したが、東黒松線など5路線はさらに悪化した。20年度に係数がワーストだった八ツ森線は、同年度末に廃止された。

 19年度と比較すると、全路線で係数が19~294ポイント悪かった。日中は高齢者の利用が伸び悩み、夜間は酒類提供店を対象に、県が実施した時短営業の要請などが響いたとみられる。

 全路線の営業収支は41億7689万円の赤字。営業収入や費用が大きい鶴ケ谷・南光台線や中山・川平線をはじめ、17路線の赤字額が1億円を超えた。

 市交通局は市バスの厳しい経営状況を周知するため、10月下旬から路線別の係数一覧表を同局ホームページに掲載する。循環観光バス「るーぷる仙台」を除く全458台の車内にも掲示する。

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