仙台市中心部、トレカ専門店続々 ファン層急拡大に合わせ新規出店や規模拡大

 トレーディングカード(トレカ)を扱う専門店が仙台市内で増えている。有名人が動画投稿サイトで魅力を紹介するなどしてここ数年、ファン層が急拡大。リサイクルショップが専門店を開業したり、既存店が規模を拡大したりして、高まる人気の取り込みを競う。(報道部・根元優)

[トレーディングカード]スポーツ選手らの写真を載せた主に収集・鑑賞目的のカードのほか、「ポケットモンスター」などゲームとして対戦できるカードの2種類に大別できる。ゲームは国内で1990年代後半から普及。1人が40~60枚程度のカードを集めてキャラクターのチームを組み、対戦する。

コロナ禍で空き店舗増加 展開しやすく

 青葉区のクリスロード商店街に16日、「マンダイトレカ仙台クリスロード店」が開店した。リサイクルショップなどを展開する万代(仙台市)が運営。市中心部への出店は8月に続き2店目で、オープン記念の限定商品を求める約30人が営業開始前に列を作った。

 人気の高まりで入手が困難になりつつある「ポケモンカードゲーム」や「ワンピース」「遊戯王」などさまざまな種類のトレカを取り扱う。1パック数枚入りの新品のほか、中古品も1枚から売り買いできる。どんな商品が出るか分からない「くじ」や「ガチャ」も数多くそろえた。

 客同士がカードゲームを楽しめるスペースも充実させ、学校の教室をイメージした部屋に16席を用意。大会などイベント開催も予定する。

 万代はこれまで郊外の大型店を中心に専門店を出店していたが、高野楽斗店長(24)は「トレカ人気の高まりを受け、コロナ禍で空き店舗が増えた仙台の中心部に展開することになった」と話す。万代は8月、JR仙台駅西口にも新店をオープンさせており、宮城、岩手両県の計5店舗体制で集客増を図る。

 既存店が規模を拡大させる動きもある。駅西口の仙台パルコに4月、野球やサッカーなどスポーツカードを中心に販売するミント(東京)が、近隣の商業施設から移転オープンした。

 店舗面積は従来の約2・5倍。スポーツカード目当ての客との相乗効果を狙ってゲーム用の取り扱いも本格化させ、新設した32席の対戦スペースでは連日、大会やイベントを開催している。

 ミントは全国に直営店19店を展開。仙台店は2000年に当時のダイエー仙台店(青葉区、現イオン仙台店)にオープンし、移転を重ねながら20年以上、トレカの魅力を発信してきた。阿部悠樹店長(44)は「トレカ文化はこの数年で爆発的に広まった。店がここまで大きくなるとは想像していなかった」とブームを歓迎する。

レアカードは高騰…盗難や買い占め対策図る

 希少価値のあるトレカは高額で取引され、投資の対象としても注目を集めている。仙台市内の専門店にも数万円から数十万円の希少品が並ぶ。

 マンダイトレカ仙台クリスロード店では1枚約20万円のポケモンカード、ミント仙台店では1枚70万円のスポーツカードや1枚50万円のポケモンカードが注目を集める。

 マンダイトレカの高野店長は「マニアとみられる男性が『ずっと探していた』と言って高額カードを買っていったりする」と話す。

 ゲーム大会の入賞者に配られる記念カードなど、流通枚数の少ない商品は高値で取引される。20年以上前に販売されたカードも「骨董(こっとう)品」として扱われ、高値を呼ぶ。高額商品は鍵付きのケースに入れたり、ダミーカードを飾ったりして盗難を防止している。

 トレカはネットオークションで目玉商品の一つだったが、近年ではフリーマーケットサイトの普及により買い占めや高額転売の的になることも増えた。子どもたちの楽しみが奪われないよう専門店はさまざまな対策を打つ。

 マンダイトレカ仙台クリスロード店では新商品の販売などの際、1人が買える数を制限し、小学生以下にだけ販売することもある。ミント仙台店は人気商品の抽選販売や購入実績に応じてカードを買える数を変えるなどしている。

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