仙台市24年度当初予算編成方針 2年連続でゼロシーリングを設定、厳しい収支見通し考慮

仙台市は2024年度一般会計当初予算の編成方針を固めた。物価高騰が長引く状況でも、重点施策の事業費、人件費などを除く一般経費は23年度当初の枠内に抑えるゼロシーリングを2年連続で設定する。24~33年度の10年間で計3621億円の財源不足が生じる厳しい収支見通しを考慮した。

 重点事業は(1)子育てや高齢者福祉をソフト面で支える「誰もが認め合い、活躍できるまちづくり」(2)都市の魅力を高めるハード整備を含む「暮らしを支え、ひとを呼び込むまちづくり」(3)「デジタルで進める、便利で豊かなまちづくり」-の3本柱で、各部局の要求額に上限を設けない。

 23年度の普通会計の収支は、355億円の財源が不足した2月時点の試算と比べ、個人市民税などの市税収入が持ち直したため、不足額は決算ベースで86億円程度圧縮できる見込み。24~33年度の財源不足も歳入が想定を上回り、2月に公表した3732億円から111億円程度改善する。

 貯金に当たる財政調整基金の取り崩しなどで財源を賄う状況は続く。社会保障費の増加のほか、市役所本庁舎の建て替えなど複数の大規模施設整備が控えるため、24年度で251億円、ピーク時の32年度で458億円の不足を見込む。

 本庁舎建て替えは事業費514億円のうち、脱炭素化に関する国の交付金で22億円を調達し、市債と繰入金を減らす。

 財政課の担当者は「大規模プロジェクトは市の魅力や活力を生み出す投資であり、厳しい状況でも着実に進める」と理解を求める。

 市は市議会9月定例会の議論を踏まえ、予算編成方針を最終決定する。

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