訪日外国人旅行者(インバウンド)を主なターゲットに据えた飲食店併設ゲストハウス「ORIT(オリト)」が7月下旬、仙台市青葉区の仙台朝市近くにオープンした。英語が話せるスタッフをそろえ、ドミトリー式の部屋を設けるなど宿泊代金も安く抑えた。運営する不動産業のアルディア(仙台市)は「世界と東北を結び、交流が生まれる場にしたい」と意気込む。
ゲストハウスは、JR仙台駅から徒歩数分にある鉄骨4階で、延べ床面積は308平方メートル。かつて和菓子店だった店舗兼加工所を改装し、木目アンティーク調の内装にしつらえた。
2~4階の宿泊スペースは定員34人で、男女混合や女性専用のドミトリー計3室と個室3室からなる。利用者同士に交流を深めてもらおうと、シェアスペースや共用キッチンも備えた。
約10人のスタッフは全員英語を話し、公衆無線LAN「Wi-Fi(ワイファイ)」も利用できる。名称のオリトは「織り糸」にアイデアを得た。「旅行者同士や地元住民との交流が思い出を紡ぐ」という意味を込めた。
1階は宿泊客以外も利用できるカフェバー。朝から昼にかけては自家焙煎(ばいせん)のコーヒーやランチ、夜はワインなどのアルコールと仙台朝市で仕入れた野菜を使った料理などを提供する。展示会などイベントスペースとしても使える。
アルディアの堀内邦光社長は「飲食店併設の交流型ゲストハウスは東京に多いが、東北では珍しい。インバウンドの東北観光の拠点にしたい」と話す。今後は観光団体と連携し、東北の名所などを案内する仕組みの整備を検討する。
宿泊料金は1人1泊3300円からで前払い制。ウェブサイトなどで予約できる。飲食店の営業は午前8時~午前0時(平日午後3~5時は休業)。