仙台東部沿岸、集団移転は2000世帯 復興会議

仙台市は14日、震災復興検討会議(議長・鎌田宏仙台商工会議所会頭)の最終会合を市役所で開いた。沿岸部と丘陵部の居住地復旧に向けた独自支援制度の創設や、産業再生策などを盛り込んだ震災復興計画の最終案を了承した。
 最終案は、中間案をまとめた9月以降に具体化した国の第3次補正予算案の内容、市議会や検討会議の議論を反映し、文言や構成を整理した。
 沿岸部の独自支援制度は、災害危険区域に指定して移住を促す約2000世帯に加え、現位置で生活する世帯が盛り土などの防災力向上を図る際に個人負担を軽減できるよう、地域の状況に合わせて内容を設定する。
 丘陵部の宅地被害については、国の支援制度の対象にならない地権者が復旧を行う場合、一部を助成する。
 産業分野では、復興関連プロジェクトや、防災・環境・新エネルギー分野などの研究開発を積極的に支援し、地域企業の取引拡大や企業集積の促進を目指すとした。
 住宅の新築・増築ができない災害危険区域の指定に関して、委員からは「基礎となる津波浸水シミュレーションが個人の居住権を制限する十分な根拠になるかどうか、やや引っかかる面もあるが、ほかに手段はない」「起こりうる災害のリスクを考えると、生命財産の保護が大前提」といった意見が出た。
 鎌田議長は「集団移転をお願いする責任の重さをひしひしと感じるが、安全な住まいを確保するのが一番重要」と説明。奥山恵美子市長は「復興計画の概要が固まり、被災者に提示できる第1段階に達した」と話した。
 市は17日、局長以上で構成する震災復興推進本部会議を開き、最終案を決定。今月下旬に開会予定の市議会臨時会に議案として提出する方針。

タイトルとURLをコピーしました