仙台港に活気再び レジャー施設充実 手軽な休日の行楽地

 東日本大震災で甚大な被害を受けた仙台港(仙台市宮城野区)に活気が戻ってきた。東北随一の物流拠点にとどまらず各種レジャースポットも充実し、仙台近郊の休日の行楽に最適だ。潮風が心地よい港周辺を訪ねた。(報道部・熊谷吉信)
<「工場見学が増加>
 「掘込港湾」と呼ばれる長方形に切り込んだ形状の仙台港は、1967年に整備がスタート。71年7月開港した。
 貨物輸送の仙台臨海鉄道が走る周辺には約50の事業所が立地する。代表的な工場の一つ、キリンビール仙台工場(地図1)は月曜日を除き見学を毎日開催。ビールの製造過程を学べる。
 見学者は震災前の年間約6万人から約8万人と増加傾向にある。担当者は「ビールや清涼飲料を試飲できます。ぜひ家族連れでどうぞ」とPRする。原則予約が必要だ。
 宮城県によると、2013年に仙台港に入港した船は6682隻(速報値)。取扱貨物量は約3850万トンで、震災前の10年に比べ16%伸びた。
 国際定期コンテナ航路は韓国・中国と北米向けの計5航路。4月には韓国・釜山とダイレクトに結ぶ便も新設された。
 行き交う船を眺めながら釣りが楽しめる。雷神(地図2)、中野(地図3)の両埠頭(ふとう)が家族向けにうってつけだ。
<フェリーも発着>
 今の季節、狙うのはカタクチイワシやアジ、カレイなど。休日はマイカーで訪れ、釣り糸をたれる人も目立つ。
 近くの「つりえさ倶楽部マリン仙台新港店」の和地一彦店長は「事故防止のためにもグループで釣行すること。ライフジャケットも着用してほしい」とアドバイスする。
 フェリー埠頭(地図4)からは、太平洋フェリー(名古屋)が苫小牧便を毎日、名古屋便を隔日運航する。
 「船旅には憧れるけれど、遠距離はちょっと」という人には夏休みやクリスマスのランチバイキングクルーズがお薦め。昼食を食べながら約3時間で仙台湾を巡る。
 展示会や会議が開催される夢メッセみやぎ(地図5)と並び、年間を通じて多くの人が訪れるのが三井アウトレットパーク仙台港(地図6)。
 家族や若者向けの約120のショップが入居する。敷地内の観覧車は高さ約50メートルで約12分で1回り。晴れた日には蔵王の山並みを望める。
 津波で被災した中央公園(地図7)は、テニスコートなど一部が4月29日に再開した。今夏には多目的広場や野球場も復旧する。県港湾課は「仙台港の憩いの場所として多くの市民に親しんでもらいたい」と話す。

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