仙台港(仙台市宮城野区)を東北観光の拠点に育て上げようと、港エリアの立地企業を中核とする官民連合組織「仙台港周辺地域賑(にぎ)わい創出コンソーシアム(仮称)」が4月中旬に設立されることが25日、分かった。屋内外の周辺施設を活用し、各団体が連携して集客イベントを開催するなどまちづくりの司令塔役を目指す。
仙台港周辺では今年、米国の大型クルーズ船「セレブリティ・ミレニアム」が4月29日に寄港するなど、大きな動きが相次ぐ。9月7~11日には「和牛のオリンピック」と称される全国和牛能力共進会宮城大会が夢メッセみやぎである。
周辺の企業や県、市は「観光地としてアピールする好機」(県企業局)と捉え、結成の機運が高まった。三井アウトレットパーク仙台港を運営する三井不動産、仙台うみの杜水族館を経営する仙台水族館開発、キリンビール仙台工場、東北博報堂など会員13団体で構成。県、仙台市、東北経済連合会など4団体が特別会員として加わる。
当面の活動期間は3年間で、活動資金として各企業が年5万円を拠出。県と市は2017年度限定で各50万円を支出し、ともに17年度一般会計当初予算案に関連費を計上する見通し。
初年度はクルーズ船寄港と共進会開催に合わせ、周辺の公園や商業施設で記念イベントを企画する。仙台市中心部で開かれる「定禅寺ストリートジャズフェスティバル」(9月)や「みちのくYOSAKOIまつり」(10月)のサテライト会場となるように関係者に働き掛ける。
将来は各種イベントの開催のほか、港を拠点に仙台空港や松島湾を結ぶ観光ルートの設定、大型客船のさらなる誘致に取り組む。
県によると、仙台港周辺には仙台うみの杜水族館などに年間約450万人の観光客、買い物客が訪れており、集客拠点としての存在感は年々高まっている。
コンソーシアムに参加する三井不動産の伊藤昇東北支店長は「仙台港は東北観光の入り口となる潜在力が眠っている。官民で知恵を出し合い、付加価値を掘り起こしたい」と話す。