東日本大震災で被災した仙台港(仙台市宮城野区)で22日、北米に向かう定期コンテナ航路が、震災から約10カ月ぶりに再開された。東北の港で唯一の北米航路の回復は、輸出産業の競争力向上につながりそうだ。
日本郵船など3社が共同運航する大型コンテナ船「エヌワイケー アーガス」(7万5500トン)が正午すぎ、同港高砂2号岸壁に接岸。復旧したガントリークレーンを使い、輸出する自動車用タイヤや輸入した製材、牧草などの積み降ろしをした。
北米航路と高砂2号岸壁の再開を祝う式典も同港で開かれ、国土交通省、宮城県、港湾関係者ら約70人が出席。三浦秀一副知事は「北米航路の再開は地域経済の復興を強く後押しする」と期待を述べた。
震災の影響で休止していた国際コンテナ定期航路の再開は、昨年9月の中国.韓国向けに次いで2例目。
県によると、昨年12月の仙台港のコンテナ取扱量は前年同月の約72%。うち輸出入コンテナは32%にとどまった。県は取扱量回復に向け、荷主や運送業界への働き掛けを強める。
今回、高砂2号岸壁は全長330メートルのうち270メートルの利用を暫定的に再開。仙台港の全14岸壁が接岸可能になった。被災した荷役用のガントリークレーンは4基中、3基が復旧している。