仙台牛にも打撃 稲わら3800トン不足

高級ブランド「仙台牛」の一大産地で肉牛飼養頭数県内トップの宮城県登米市で、台風19号の冠水被害により、牛の餌となる稲わらが少なくとも約3800トン不足する見通しであることが5日、みやぎ登米農協(登米市)の調べで分かった。
 同農協によると、管内の水田約1万ヘクタールのうち3130ヘクタールが冠水被害に遭い、稲わら1万5650トン分(計3億1300万円相当)の被害が出た。
 農協が肉牛を繁殖・肥育する農家723戸を対象に実施した「飼料用稲わら確保状況調査」によると、10月30日までに回答があった361戸のうち「餌の稲わらが不足する」と答えたのが約6割に当たる221戸で、不足量は計3848トンに上ることが判明した。「稲わらを他に譲渡できる」と答えた農家は6戸で計260トンにとどまった。
 同市ではコメ農家から出た稲わらを肉牛農家が集めて牛の餌や畜舎の敷きわらとして利用。牛ふんを発酵させた堆肥をコメ農家に戻す「耕畜連携」が進んでおり、循環型農業の一翼を担っている。
 農協は稲わらを譲渡できる農家探しに努めているが、現段階では高価な輸入飼料で補うほかないという。
 榊原勇組合長は「年間必要量の3分の1すら確保できないところも出ている。畜産農家の経営に悪影響が出かねない」と懸念する。

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