合同酒精(東京)は、缶入りカクテル「レゲエパンチ」の販売に力を入れている。レゲエパンチは仙台発祥とされ、同社は2003年から瓶で販売していたが、今年9月、缶にリニューアルし東北限定で販売を始めた。缶と瓶の双方の商品化に関わったのが、同社の杉山正晴仙台支店長(49)。仙台生まれのカクテルを全国ブランドにしようと、再挑戦が始まった。
レゲエパンチはピーチリキュールとウーロン茶のカクテル。1990年代の仙台市青葉区国分町のバーで、酒が苦手な女性常連客のために作られた。常連客がレゲエ好きだったことから、その名が付いたという。
杉山支店長は八戸市出身で東北学院大に進学。仙台市内の居酒屋などで、当時はやりだしたレゲエパンチを飲んで気に入った。合同酒精入社後、レゲエパンチの知名度が低く、驚いた。
同社は90年代から、北海道白糠町の土産品だったシソ焼酎「鍛高譚(たんたかたん)」の販路を徐々に広げ、2000年代に全国的に大ヒットさせた実績がある。同社は第2の鍛高譚を誕生させようと、ローカル商品の発掘に力を入れていた。
杉山支店長は当時、営業担当として最初の仙台勤務。学生時代を思い出し、仙台にも「第2の鍛高譚」があることに気付いた。
「仙台発祥のカクテルがある。全国に知られていないのは、もったいない」。本社に訴えると、熱意が通じた。レゲエパンチは03年に宮城県限定で発売され、04年に全国デビューした。
最もこだわったのが瓶での商品化。顧客はクラブやバーに集う若者を想定した。「炭酸が入っていないから、クラブで踊りながら飲めると好評だった。格好よく瓶をラッパ飲みする商品イメージだ」と振り返る。
だが、瓶のレゲエパンチは宮城以外では売り上げが低迷。一方、缶酎ハイなどの低アルコール飲料の市場は近年、拡大している。
同社は価格を抑え手軽に飲める缶入りならば低アルコール飲料の市場で勝負できると判断し、缶のレゲエパンチの販売を決めた。
瓶商品は現在も販売しているが、生産は缶商品に徐々にシフトさせる方針という。杉山支店長は「まだ瓶にこだわりがあるけれど」と残念がる一方で、「レゲエパンチの再挑戦。まずは東北の人に親しんでもらい、ヒットさせて全国に広めたい」と意気込んでいる。
缶のレゲエパンチは350ミリリットル入りで税込み154円。レモン風味を足した「レゲエパンチ レモン」もある。売れ行きは好調だという。