仙台空港 民営化へ、戦略確認 官民支援組織が初会合

宮城県が目指す仙台空港の民営化に向けた機運を高めようと、官民合同の支援組織「仙台空港600万人・5万トン実現サポーター会議」の初会合が16日、仙台市青葉区のホテルメトロポリタン仙台であった。
 国土交通省の田村明比古航空局長が講演し、格安航空会社(LCC)の新規就航が空港の経営改善をもたらす効果を説明。「1日2往復するだけで旅客が20万人、着陸料収入が4000万円、物販など関連事業収入が2億円増える」と述べた。
 「空港から始まる地域活性化」と題したパネル討論もあり、LCCピーチ・アビエーションとJTB、日本通運3社の幹部と、村井嘉浩宮城県知事が意見を交わした。
 県は仙台空港の民営化30年後の目標として、ピーク時の倍の利用者600万人、貨物取扱量5万トンを掲げる。村井知事は「LCCの拠点となるよう取り組みを進め、国際貨物専用便の誘致も狙う」と戦略を語った。
 県は2011年12月、仙台空港の民営化を目指す方針を打ち出した。空港運営を民間に委託できるようにする民活空港運営法が6月に成立。国は仙台空港について14年度に運営権を移す民間事業者を決め、15年度にも運営委託を始める方針だ。
 サポーター会議は5月に設立され、民営化をビジネスチャンスととらえる企業など、県内外から約200の法人や個人が参加した。初会合には約300人が出席した。
◎委託先「完全な民間」 宮城知事、新関空を否定
 村井嘉浩宮城県知事は16日の定例記者会見で、県が目指す仙台空港の民営化について「一つのモデルとして、完全な民間企業が空港運営を実験的にやる場所だと思う」と述べ、国が全額出資する新関西国際空港会社への運営委託に否定的な考えを示した。新関空会社は、仙台空港の運営参画に意欲を示している。
 村井知事は「(新関空会社は)実質的に国がコントロールする企業。それが受託することは当初目指していたものではない。国にもはっきり申し上げている」と語った。
 運営委託の在り方は、国が本年度、地元自治体などの意見を聞きながら検討する。入札などを経て委託先が決まれば、2015年度にも第1号の民営化空港が誕生する。
 村井知事はこれまで、運営委託先に関し「グローバルに事業を展開し、空港事業に関わったことがある企業が望ましい」と述べている。

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