仙台空港、東北初の24時間化 宮城県と名取、岩沼両市が合意へ

仙台空港の24時間化に向けた運用時間の延長で、宮城県は地元の名取、岩沼両市が求める地域振興策への補助や独自の防音対策費などを2021年度一般会計当初予算案に盛り込む方針を固めた。両市が今週中の市議会全員協議会で受け入れを表明し、議会が了承すれば、県は近く両市と覚書を締結する。東北で初めての24時間空港が誕生する。

 延長手続きで国が求める地元同意が完了後、仙台空港を運営する仙台国際空港(名取市)は延長時間の運航計画の策定に着手。国土交通省東京航空局の認可を経て、24時間化に向けた延長が実現する。時期は未定。
 当初予算案は、両市が地域住民の意向を受けて独自に実施する市道整備などの補助に数億円ずつ配分する方向で調整。航空機騒音防止法で国の防音補助対象外となる地域に対し、県が独自に実施する騒音対策には数億円を充てる見込み。両市から要望があった県道などの整備にも、十分な財政措置を講じる。
 名取市は4日、岩沼市は5日にそれぞれ市議会全員協議会を開き、山田司郎名取市長、菊地啓夫岩沼市長が受け入れに関する具体的な考えを示す見通し。両市長は既に1月下旬の全員協議会で、24時間化に向けて前向きな姿勢を表明した。
 県は2018年8月、両市議会で24時間化の方針を表明し、19年9月には村井嘉浩知事、両市長、仙台国際空港社長による4者会議を設置した。20年8月の第3回会合で、両市長は県の騒音対策に一定の理解を示し、地域振興策の議論を進めることに合意した。
 仙台空港は16年7月、国管理空港として全国で初めて民営化された。県は東日本大震災の創造的復興の象徴と位置付け、仙台国際空港と共同で利用促進や路線の拡大に力を入れてきた。
 新規就航や増便が相次ぎ、19年度の旅客数は前年度比2・9%増の約372万人と3年連続で過去最多を記録。新型コロナウイルスの影響で、20年度上期は前年同期比76・2%の大幅減となった。
 24時間空港は羽田や新千歳、那覇などに続き全国で9番目。

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