仙台藩士の墓がある寺院を調べている仙台市の市民グループが、仙台藩ゆかりの実業家らの墓碑とその功績を調べ、冊子「仙台藩を彩った異才たち」をまとめた。主に藩制時代に活躍した21の家を取り上げた。
冊子は、墓碑がある青葉区の寺院を案内する市民グループ「北山ガイドボランティア」が作成。A4判29ページで、メンバーの吾妻信夫さん(74)と田村孝行さん(71)が執筆した。
青葉区新坂町の大願寺と正円寺にある墓碑や文献を丹念に調べ、両寺院ゆかりの商家を取り上げた。
絹織物「仙台平」の礎を江戸中期に築いた小松弥右衛門については、現在の青葉区の西公園近くに織物機業場を設けたことなどを伝える。酒造家の榧森(かやの もり)又右衛門は、仙台藩祖伊達政宗に招かれ仙台城内に屋敷を構えた。明治初めまで代々、藩に献上する酒や薬酒を造り続けたことなどを紹介した。
冊子の制作は2011年から続く活動の一環。これまで藩士編を6冊まとめ、今回から経済人に光を当ててている。11月に青葉区の北山市民センターで開く歴史講座の教材とする予定で、希望者に頒布する。
吾妻さんと田村さんは「仙台藩の隆盛を支えた人々の功績を振り返る機会にしたい」と話す。今後も墓碑がある実業家らの家系をたどりながらそれぞれの生きざまなどを考察し、冊子にまとめていくという。
歴史講座は11月21日午前10時~正午。参加費500円。希望者は31日までに同センターに申し込む。連絡先は同センター022(272)1020。