6日開幕した仙台七夕まつりで、仙台駅東口商工事業協同組合の飾り付けが30年目を迎えた。当初から地域ぐるみの七夕を掲げ、地域の親子と共同で制作や飾り付けを行う。時代は令和となり、駅東口の風景は様変わりしたが、関係者は「大切な伝統を引き継いでいきたい」と力を込める。
仙台市宮城野区のJR仙台駅東口、宮城野通に5日午前、親子ら100人以上が集まった。六つの子ども会ごとに、手作りした七夕飾りを長さ約15メートルの竹に取り付ける。大人が空に引き上げるたび「頑張れー」と子どもの歓声が上がった。
組合設立は1989年12月。翌年の七夕まつりの際、「みんなで味わうことが大切」と考えた当時の理事長と、飾り制作老舗のマルイチ商事(若林区)が協力し、地元の榴岡小に呼び掛けて「全員参加型」の飾り付けを始めた。
例年5月に説明会を開き、各子ども会で飾りのデザインを話し合う。マルイチ商事が材料を提供し、制作指導も行う。そして飾り付けにも親子に足を運んでもらう。こうした形を貫いている。
かつて「駅裏」と呼ばれた東口は区画整理が進み、マンションが林立する街になった。今は転勤で住む親子も多いが、「七夕に参加できてよかった」とのお礼状が組合やマルイチ商事に毎年寄せられるという。
組合員でもあるマルイチ商事の壹岐直紘社長(39)は「自分たちで作った飾りが飾られれば楽しいし、世代を超えて文化に触れてもらえる。伝統を守るためにこれからも続けていきたい」と語った。
まつり期間中の6~8日、組合は駅東口の榴岡2丁目交差点付近に特設テントを設け、ミニ七夕飾り作りの体験会を行う。昨年飾った竹を再利用したキーホルダーも初めて販売する。