七十七リサーチ&コンサルティング(77R&C、仙台市)は、頭脳労働を業務の中心とする知識集約型産業のうち、対事業所サービス業(KIBS)の集積度に関する調査結果をまとめた。仙台市は全国20の政令指定都市の中で、中位の8位だった。郡和子市長が「ライバル都市宣言」する福岡市の集積度は仙台市の約3倍で3位となり、大きな差がついた。
同社は地域の持続可能性を高める鍵として、地域のデジタル化をけん引するKIBSに着目。調査では通信、放送、情報サービス、学術・研究開発機関など7業種をKIBSとした。
可住地面積1平方キロ当たりのKIBSに携わる従業員数を集積度とし、2014年の経済センサス基礎調査のデータを使って計算。仙台市は73・8、福岡市は219・7だった。
順位は表の通り。政令市のトップは大阪市の661・2、最下位は堺市の12・5で、平均は116・1。一部に例外はあるが、都市の規模と比例する結果となった。
経済活動を総合的にまとめた「産業連関表」を使い、商品や資材、サービスの流れなどを分析。KIBSの仕入れ先として印刷・製版・製本や商業、販売先として商業や金融・保険、飲食サービスなどが強く関係していた。
さらに統計的手法を用いて、KIBSの集積度が高くなる条件として(1)関連産業がより集まっている(2)大学進学率や卒業者の人口割合が高い-ことを挙げた。
調査を担当した大川口信一研究顧問は「仙台は支店経済の面が強く、販売先に当たる地元企業が少ない点が福岡と大きく違う」と指摘。「KIBSが集まれば、関連産業も集まる。地域の中心都市である仙台が拠点として成長してほしい」と話す。
国の経済センサス基礎調査は5年に1度実施。19年(20年度公表)のデータを使うと結果が変わる可能性もあるが、同社は大きな変化はないとみている。