仙山線の鉄橋や旧転車台、土木遺産に

 土木学会は8日、歴史的な近代土木施設を顕彰する「選奨土木遺産」に、JR仙山線の鉄橋や信号所、転車台など6項目9施設の鉄道施設群を選んだと発表した。ことしは、仙山線で国内初の交流電化試験が行われてから60周年。登録を目指し活動してきた沿線住民らは「地域活性化の弾みになる」と喜んでいる。
 学会は選定理由として「昭和初期の先端土木・鉄道技術を駆使し、戦後新幹線の礎となる交流電化発祥の地として世界に誇る鉄道文化資産」と評価した。東北の認定は27件目。
 仙山線は1937年に全線開業した。急勾配や駅間距離の長さから、54年に行われた交流電化試験は、64年の東海道新幹線開業につながる鉄道高速化の原点とされる。
 施設群のうち第2広瀬川橋りょう(熊ケ根鉄橋、仙台市青葉区)は28年建造。高さ約40メートルのトレッスル(架台)は現存する鉄道橋として日本一を誇る。宮城、山形県境の仙山隧道(ずいどう、面白山トンネル)は37年完成で、トンネル内に列車交換用の信号所がある。作並(青葉区)、山寺(山形市)両駅の転車台は蒸気機関車の方向転換に使われた。
 仙台市の市民グループ「関山街道フォーラム協議会」の下部組織・鉄の道部会は2012年から、遺産認定に向けた活動を展開。ことし3月には作並駅の転車台を掘り起こした。加藤栄一部会長(79)は「市民の宝を沿線のまちづくりに生かしたい」と意気込む。
 協議会に参加する作並温泉旅館組合の岩松広行組合長は「歴史を語り継ぐことで観光資源になる」と多彩なイベントを練る。協議会顧問の星山幸男東北福祉大教授(61)は「仙山線が日本の発展に果たした役割と意義を子どもたちに伝えたい」と語る。
 仙山交流のさらなる推進を期待するのは、山形市の山寺地区文化観光推進協議会の新関孝夫事務局長(77)。「山寺と作並が手を組み、貴重な遺産に光を当てたい」と話す。
 土木学会選定委員の後藤光亀東北大大学院准教授は「単なる遺産でなく、地元学や体験学習の資産として生かしてほしい」と期待を込めた。
[土木遺産認定を受けた仙山線施設群]
・トレッスル橋=第2広瀬川、新川川、荒沢 川の各橋りょう(仙台市青葉区)
・仙山隧道と同信号所(青葉区、山形市)
・作並、山寺両駅の転車台(青葉区、山形市)
・作並機関庫(青葉区)
・奥新川直流変電所(青葉区)
・交流電化発祥地記念碑(青葉区)
【写真特集】
▽仙山線施設群
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201410/20141009_13019.html

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