JR東日本仙台支社は30日、東日本大震災で被災した仙石線の全線運転を2015年6月までに再開すると発表した。仙石線が東北線に乗り入れる接続線を利用する列車は、再開に合わせ運行を開始する。
不通区間の高城町-陸前小野駅間(10.4キロ)のうち、陸前大塚-陸前小野駅間の線路を約500メートル内陸の高台に移設する工事が本格化するなど再開時期にめどが立った。今後、レールの敷設や信号機設備の設置、内陸部に移設する東松島市の東名、野蒜2駅の整備を進める。
仙石線の東北線乗り入れは、仙石線松島海岸-高城町駅間と東北線塩釜-松島駅間で両線が近接する区間に設ける約300メートルの接続線を活用する。接続線を通る列車は「仙石東北ライン」として仙台-石巻駅を約1時間で結ぶ想定。震災前に比べ、10分程度短縮できる。
仙台支社によると、全線再開後の本数は、震災前に仙台-石巻駅間で運行した1時間に上下各2本程度を検討している。東北線乗り入れの本数は未定。
松木茂支社長は定例記者会見で「しっかり仕上げ、安全な仙石線に復旧する。(全線開通が)被災地の復興の後押しになると期待している」と述べた。
石巻市の亀山紘市長は「仙石線の全面再開と仙石東北ラインの開通は鉄路の利便性が向上し、石巻の復興に経済、観光面で大きな役割を果たしてくれる。市の魅力を発信し、発展につなげたい」と話した。