JR東日本と宮城県が、東日本大震災で被災したJR仙石線の一部区間を東北線に乗り入れる方向で最終調整に入ったことが15日、分かった。両線を宮城県松島町内の並行区間で接続し、一部車両が乗り入れる。現在、仙台-石巻駅間の最短は東北線を使った小牛田駅ルートの約1時間10分で、これと比べ20分近く短縮される見通し。
石巻地域の復興を後押しするとともに、通勤通学客を含めた利用者の利便性向上につながると判断したとみられる。
計画では仙石線の松島海岸-高城町駅間、東北線の塩釜-松島駅間で、両線を結ぶ軌道を新たに敷設。仙石線の車両は接続箇所以南で東北線を走行する。仙石線が全線復旧する2015年中にも工事を完了させる方針。
仙台-石巻駅間の震災前の所要時間は、快速列車で1時間3分だった。これと比べても停車駅数が減少し、10分程度短縮される。
事業費は車両費などを除き20億円程度と見込まれている。同社は宮城県との協議を通し、用地買収に関する協力を求める考え。合意後、設計や用地取得に向けた作業に着手する。
両線の接続は以前から要望があったが、電化方式が仙石線は直流、東北線は交流で異なるため、乗り入れが難しいとされてきた。同社は架線から電気を取らない気動車の活用により課題の克服を検討する。
仙石線は津波で線路が流失するなど被害が甚大で、現在も高城町-陸前小野駅間が不通。仙台-石巻の所要時間は東北線の小牛田経由の場合が約1時間10分、松島海岸-矢本駅間を走る代行バスを使った場合は1時間40分程度かかっている。
東松島市内の陸前大塚-陸前小野駅間は線路を内陸側に約500メートル移設し、復旧する方針が決まっている。