令和の節目に四つの時代歩み帰還 行方不明150年の石灯籠が東照宮へ

約150年前に行方不明となった仙台東照宮(仙台市青葉区)の石灯籠2基が、仙台勝山(しょうざん)館(同区)の庭園に保管されていると分かり、5月末に東照宮に献納された。奉納式には総代らが集まり、元号が令和となった節目の年に明治、大正、昭和、平成と四つの時代を歩んだ石灯籠の帰還を喜んだ。

 東照宮などによると、石灯籠は元々、東照宮の別当寺の仙岳院(同区)にあった。1868年に明治新政府が出した神仏分離令に伴い、廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)と呼ばれる仏像や仏具の破壊活動が起こり、流出したとみられる。
 一方、仙台勝山館を経営する勝山企業の伊沢平一会長(85)は、戊辰戦争(1868~69年)から150年が経過したことを機に、勝山館の日本庭園にあった石灯籠の由来を調べた。
 仙岳院の石灯籠が行方不明という話は知っていた伊沢会長。関係者への聞き取りを重ね、東照宮に残る資料を読み込んだ結果、庭園の灯籠と仙岳院の灯籠が一致することが判明した。
 伊沢会長によると、庭園の石灯籠に関し、父祖から伝え聞いたことはないという。どのような経緯で伊沢家に渡ったのかは全く不明だが、時代の節目に献納することが最善と判断した。
 奉納式を終え、伊沢会長は「長い間、お預かりしたが、東照宮に戻すことができ、ほっとしている」と語った。高崎恒晴宮司(67)は「ありがたい。末永く大切にする」と約束し、森谷英樹総代長(79)は「大切な灯籠が奉納され、氏子は喜ぶと思う」と歓迎した。

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