企業の脱炭素電力購入後押し…政府が新制度導入方針

経済産業省は、再生可能エネルギーをはじめとする二酸化炭素(CO2)を排出しない脱炭素電源について、製造業などの一般企業が購入しやすくする新たな制度を導入する方針を固めた。脱炭素に後ろ向きな企業を取引先から外す動きが世界的に広がる中、新制度で国内企業の国際的な事業展開を支える。 【動画】森喜朗会長「女性多いと」発言を謝罪…辞任は否定

 経産省が近く有識者会議で議論を始め、今夏をめどに制度の詳細を固める。2020年代前半の運用開始を目指す。

 新制度は、太陽光や水力といった再生エネや原子力など、CO2を排出しない電源の価値を証書として取引する「非化石価値取引市場」の仕組みを参考にする方向だ。一般企業も証書を売買できるよう市場を開放する案などが出ている。市場で脱炭素電源を購入したのと同じとみなし、対外的にアピールしやすくする。

 電力使用量の多い製造業では、脱炭素化の動きが加速している。米アップルは30年までに事業全体での脱炭素方針を示し、取引先企業にも対応を求めている。取り組みが遅れれば、取引から除外される恐れもある。このため、国際的に事業を展開するトヨタ自動車やソニーなどからは、脱炭素電源を調達しやすい環境整備を求める声が高まっている。

 菅政権が掲げる50年の温室効果ガス排出量の実質ゼロに向けて、CO2排出量の9割が発電などのエネルギー起源となっている現状を改める必要がある。証書の購入代金は、再生エネなどの発電事業者が新たな設備投資にあてられるようにし、脱炭素電源の拡大につなげる。

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