伊藤忠が米ドールの缶詰、飲料事業など買収へ

伊藤忠商事は米ドール・フード・カンパニーから世界の缶詰・果汁飲料事業とアジアでの青果物生産・販売事業を買収することで最終調整していることが13日分かった。
 買収金額は17億ドル(約1320億円)前後とみられ、来週にも基本合意し、国内に買収した事業を統括する新会社を設立する計画。
 伊藤忠の発表によると、この新会社は伊藤忠の100%子会社として11月に東京に設立する。ドールから取得する関連の事業を担当、管理する。
 ドールの世界的なブランド力をてこにアジアを中心とした新興国市場を開拓する。繊維と同じように食品でもブランド事業を展開する狙いがある。
 ドールは、パイナップルの缶詰の生産では、北米で約60%のシェアを持つほか、アジアではフィリピンなどで大規模な農場を運営し、バナナやパイナップルを生産・販売する。
 バナナの価格下落や欧州などの販売不振で経営環境が悪化、7月以降加工品事業の売却などを模索していたが、アジアに強い伊藤忠を選択した。
 伊藤忠はグループのコンビニチェーン「ファミリーマート」のアジアの店舗や中国などの既存の販売ネットワークを活用する。日本の農業は国際競争力強化や輸出強化が課題となっているが、ドールのブランド力を使って輸出を後押しすることも検討している。
 大手商社は資源価格に左右されない非資源強化を打ち出す。伊藤忠は資源の割合が最終利益の5割を切っており、強みの食料や繊維など生活関連をさらに強化する。

タイトルとURLをコピーしました