昨年12月に業務提携した宮城第一信用金庫(仙台市)と宇和島信用金庫(愛媛県宇和島市)の交流が活発化している。取引先や顧客が両信金の本店所在地を旅 する計画や、災害対応に関する助言、情報交換を実施。人事交流や共通商品の開発を検討するなど、早くも連携効果が生まれている。
業務提携は、ことしが伊達政宗の長男で宇和島藩祖となった秀宗の宇和島城入城400年と、両市の歴史姉妹都市締結40周年に当たることがきっかけ。取引先の販路拡大や、災害時の相互協力が柱となる。
宮城第一信金が2月に仙台市内で開いた取引先企業との親睦会では、福引の景品に宇和島信金の取引先の農家が作ったネーブル120箱分が用意された。
4月には、宇和島信金に年金振込口座がある顧客約160人が、仙台市内の伊達家ゆかりの土地や沿岸被災地を訪問する旅行が企画されている。10月は宮城第一信金の取引先の経営者ら約40人が宇和島を訪ねる。
防災関係の協議も進む。これまで、東日本大震災を経験した宮城第一信金が宇和島信金に震災時の状況を説明。帰宅困難者の受け入れのノウハウを伝えた。
宇和島信金にとって、発生が懸念される南海トラフ巨大地震への備えは不可欠だ。村尾明弘理事長は「事業継続計画(BCP)がまだまだ不十分であることを指摘された。職員を派遣して学ばせたい」と話す。
定期預金の特典に互いの特産品を活用したり、共通の金融商品の販売も検討中という。宮城第一信金の矢野弘文理事長は「行政だけではなく、民間レベルの交流が大事。アイデアを出し合い、地域活性化につなげたい」と意気込む。