伊達家ゆかりのスポットに 仙台市、旧大年寺の敷地取得へ

 仙台市は、伊達家の霊廟(れいびょう)として栄えた旧大年寺(太白区)の敷地の一部を取得することを決めた。周辺の公園と一体的に整備し、自然豊かな憩いの場を提供する。市は「青葉区の仙台城跡や瑞鳳殿に次ぐ伊達家ゆかりの人気スポットとしてPRしていきたい」と話している。
 市が取得するのは、かつて大年寺の仏殿や三門などの大伽藍(がらん)があったエリア(1.4ヘクタール)。現在は土塁などが一部に残るが、大半は民有地の駐車場や竹林などになっている。
 市は2億5000万円で購入することで地権者と合意し、市議会2月定例会に関連議案を提出する。周辺の土地2カ所(計0.1ヘクタール)と合わせ、計1.5ヘクタールを大年寺山公園(44ヘクタール)に編入する。寺院の歴史を伝える案内板、あずまやなどを設ける計画もある。
 大年寺は1697年、4代目藩主の伊達綱村が建立。歴代藩主の墓所もあり、仙台藩最大の寺院として人気を博した。明治維新後は衰退し、当時の大伽藍の大半は取り壊された。現在は、400メートルほど離れた国道286号の近くに寺院を構えている。市は1990年度、歴史性を生かした大規模公園を目指し、野草園(太白区)を含む大年寺山一帯の整備に着手。総事業費を123億円と見込み、2015年度中の利用開始を目指している。
 大年寺の歴史に詳しい市博物館市史編纂(へんさん)室の菅野正道室長は「公園には歴代藩主の墓所、推定樹齢500年の杉の大木など貴重な資源が数多くある。これに旧大年寺の敷地が加われば、市民に足を運んでもらうきっかけになると思う」と話している。

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