休校、在宅、自粛…家族がそろう今こそ「春の大掃除」を! ポイントを解説

新型コロナウイルスの影響による休校が首都圏を中心に長引き、在宅勤務の人も増えて、家族全員が家にいるという家庭が増えています。外出自粛も求められているこの時期、家族全員で「春の大掃除」をしてみるのはいかがでしょうか。ハウスクリーニングアドバイザーの有賀照枝さんにポイントを聞きました。家中の空気を入れ替えるつもりで

Q.大掃除というと、一般に年末に行うイメージがありますが、春は大掃除に適しているのでしょうか。メリット、デメリットを教えてください。

有賀さん「個人的に、大掃除は基本的に、いつでも何回でも行ってもいいと思いますが、年末よりも春に大掃除をすることのメリットもあります。

春は年末に比べ暖かいので、蛇口の水に触れることや体を動かすことが苦にならないという、精神面が一番です。この時季は窓を開け放っても気持ちがよいので、カラリと晴れた日には、部屋中の窓や扉を開けて、家中の空気を総入れ替えするくらいの気持ちで換気を行い、窓の結露や納戸のジメジメした湿気を飛ばしましょう。

逆にデメリットがあるとすると、スギやヒノキの花粉がまだ残っていること、イネ科の花粉がこれから多く飛散するので、アレルギーの人がいるご家庭では、その対策と手間が必要なことでしょうか」

Q.4月、5月に大掃除をするとしたら、家のどの辺りがポイントになりますか。

有賀さん「先述した通り、まずは家の換気を重点的にしましょう。また、梅雨も近づいてきますので、その対策をしてはいかがでしょうか。まずは窓、網戸、サッシ、カーテンレールの掃除、カーテンの洗濯など窓周りを中心に行うとよいでしょう。

他には、冷蔵庫の中の掃除です。外せる棚は全部外して中性洗剤で洗い、アルコール除菌をしましょう。梅雨に向けて、メンテナンスしやすい状態をつくっておくのがポイントです。エアコンも、出番が少なくなった今が内部を清掃するのにいいタイミングです」

Q.休校で家にいる子どもに大掃除を手伝わせるとしたら、どのような掃除がよいでしょうか。小学生の場合と中高校生の場合、それぞれでお願いします。

有賀さん「『大掃除の後は、ごちそうが食べられる!』など、一家の一大イベントのように楽しみながら行える企画づくりから始めましょう。実際は小学生も中高生も、まずは、普段使っていない自分の持ち物の整理を促してから、掃除を始めるのがよいでしょう。ゲームや漫画本、おもちゃなどの見直しからスタートしましょう。

小学生なら、親と一緒に同じ場所の掃除をさせてはいかがでしょうか。そのときに、掃除を遊び感覚に変えられる要素があると、子どもも興味を持つかもしれません。時間を測って競争するとか、どちらがきれいに掃除できたか競うとか、しりとりゲームをしながらとか。子どもが興味を持ちそうな要素を取り入れてみてください。

中高生は自分専用の部屋がある子どもも多いと思うので、まずは自分の部屋、テリトリーを中心に掃除することから始めましょう。窓やサッシ、扉も拭き掃除をするなど、どこまで掃除をしたらいいか、事前によくすり合わせておくのがよいと思います。自分の部屋以外もできそうなら、階段や廊下など共用部分の掃除をお願いするとよいと思います」

Q.大掃除で、特に父親が担当すべき部分があれば教えてください。

有賀さん「高い場所の窓掃除、家具の移動など、女性ではしにくい力仕事や高所作業をお願いできると、家族も助かるのではないでしょうか。この際、部屋の模様替えも行うのであれば、家具やソファの移動をしてもらえれば、『お父さんの存在は心強い』と家族が改めて実感できると思います。

また、在宅勤務で、家で仕事をしたりテレビ会議をしたりすることを踏まえ、仕事に集中できる環境づくりをしてはいかがでしょうか。誰とも会話せずに、1人でこもって集中できるスペースを、家族とも相談しながら家庭内に設けてみましょう。小さいスペースでも問題ないと思います。

例えば、ついたてが立っているときは『仕事に集中したい』『テレビ会議をするので静かにしていてほしい』、ついたてが外れたときは『子どもの様子を見ながら仕事をする』などと家族で話しておくと、メリハリができていいと思います」

毎日の掃除も家族で分担

Q.大掃除ではなく、日常の掃除についても教えてください。在宅勤務で父親が自宅にいる場合、通勤時間分の活用や気分転換として掃除をするとしたら、どのようなことがよいでしょうか。

有賀さん「毎日同じ電車に乗って通勤し、仕事を開始するというルーティンをしているように、『毎日ここだけは!』と決めてのルーティン掃除をご提案したいです。元プロ野球選手のイチローさんが現役時代、バッターボックスに立つ前にルーティン行動をして活躍していたように、ルーティン掃除は『これから仕事を始めます』という行動条件付けにもなっておすすめです。

キッチンに奥さまが立つことが多い場合、使い勝手や掃除のやり方などでもめるかもしれないので、例えば、トイレ掃除や玄関周りの掃き掃除などがよいでしょう。気分転換時の掃除としてもおすすめですが、靴磨きや庭の草刈りなど、普段なかなかできない掃除をあえて日常の掃除として組み込んで、気分転換するのもおすすめです。

いずれにしても、ポイントは『掃除にかける時間を決めてやる』ことです。ある程度の時間、デスクワークに集中したら体を動かし、心身両面のバランスをとるつもりでお掃除を取り入れてはいかがでしょうか」

Q.休校中の子どもたちに、日常の掃除を手伝わせるとしたら何がよいでしょうか。

有賀さん「すぐできる狭い範囲の掃除、もしくは、これまで手伝ってもらったときに、子どもが興味を持って嫌がらずにした掃除からお願いしてみましょう。また、子どもが選んだお気に入りのキャラクター掃除道具を子ども専用として与えるなど、興味を持った掃除道具を使わせるのも一案です。子どもの背丈に合ったフローリングワイパーを使っての床掃除、お気に入りのキャラクターのブラシで浴槽を磨かせるのもおすすめです。

子どものやる気の芽を摘まないよう、子どもが興味を持ったことは『危ないからダメ!』と止めずに、見守りながら一緒に手伝わせてみるのが一番です。掃除以外でも、洗濯物を一緒にたたむ、炊飯、料理の手伝いや食器洗いなど、できることは意外とあります」

Q.外出自粛が続く中で、家族で掃除をすることの効用は。

有賀さん「掃除は、家の中で最も役割分担しやすい家事の一つです。家族一人一人が掃除を分担することで責任感が生まれ、『自分も家族の一員であり、役に立っている』という自覚も生まれやすいと思います。

広い見方をすれば、家庭で子どもの社会性を育んでいるといっても過言ではありません。親からすると、まだ子どもだからできないだろうと思ってやらせなかったことも、やらせてみたら意外にできるんだ!という発見があって面白いかもしれません。

また、近しい間柄だからこそ、小さなことでも必ず『ありがとう』と感謝の言葉を掛けることを忘れないようにしましょう。掃除は家がきれいになるだけではなくて、気持ちもすがすがしく、きれいにしてくれます。外出自粛を前向きに捉えて、ぜひ、掃除をきっかけにご家族でいろいろなことを話し合ってもらえればと思います」

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