休業要請、32都道府県に 8割超「協力金」など支援策

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために政府が出した緊急事態宣言を受け、32の都道府県が施設や店舗への休業要請を決め、このうち8割超の27自治体が「協力金」などお金による支援策を打ち出していることがわかった。朝日新聞が21日の状況を調べた。宣言の対象は全国に拡大したが、感染の状況や財政事情の違いから、支援の有無や内容にばらつきが出ている状況が浮かぶ。

 21日には宮城や新潟、奈良の各県などが県内でも休業を要請する方針を決定。感染者が確認されていない岩手県も、接待を伴う飲食店への要請を検討中だ。

 お金による支援策で先行する東京都は10日、休業に応じた事業者に「感染拡大防止協力金」を出すことを発表。休業中の補償ではなく、見舞金の位置づけだ。

 自治体は近隣地域の動きをみながら、支援の方針を決めている。埼玉県の支援金は最大30万円で、隣の東京都の最大100万円とは差がある。大野元裕・埼玉県知事は21日の会見で、「国が手当てするべきだ。格差が生じるのは不本意であり、じくじたる思い」と話した。

 大阪府は休業要請に応じない事業者名を公表する方針の一方で、要請に応えた個人事業主に50万円、中小企業に100万円の支援金を出す。隣の兵庫県は当初は消極的だったが、大阪と同等の支援金を決めた。井戸敏三知事は「県境を挟んで不公平な扱いになるのを避けたかった」と述べた。奈良県も「休業要請が必要と判断した」(荒井正吾知事)として10万~20万円を出すことを決めた。

 愛知県は休業要請とともに一律50万円の協力金を決定。大村秀章知事は「わかりやすく、すぐ出せるので一律50万円にした」と説明する。熊本県は休業要請に慎重だったが、政府の臨時交付金が協力金にあてられることになったため、要請とともに最大30万円を支援する方針を決めた。

 山梨県は休業要請をする一方、協力金は出さない。売り上げが半分以上減った中小企業に200万円を上限に給付する政府の制度があることから、長崎幸太郎知事は「国を超える分は、われわれの財政では極めて難しい」。政府の臨時交付金も支援に使える見通しとなったが、これも病床や軽症者向けの宿泊施設の確保などにあてる方針だ。

 財源不足もあり、今のところ休業要請をしないと決めたのは9県。島根県の丸山達也知事は16日、「県の財源では東京や大阪などと同水準の補償はできない」と話した。県幹部は「協力金は一時しのぎでしかない。臨時交付金がいくら来るのかも分からない」と語る。同じく休業要請をしない静岡県の川勝平太知事は「県内でも地域によって事情が異なるので、一律の要請はできない」と説明する。県内の市町が要請をして協力金を出す場合、支払いを支援する方向で検討する。

 和歌山県は「県内では感染を抑えこめており、現時点で休業要請は不要」とする。今後、要請をしてもお金による支援はしない方針。仁坂吉伸知事は21日、外出自粛ですでに観光業が苦境にあるなか、飲食店など一部を支援するのは「道理に合わない」と述べた。やはり「要請は現時点では不要」とする岡山県は、すでに出している外出自粛要請の効果を見極めた上で判断するという。

■要請検討中の県

青森、岩手、徳島、香川、愛媛、沖縄

■要請をしない県

静岡、和歌山、鳥取、島根、岡山、長崎、大分、宮崎、鹿児島

■休業要請を決めた都道府県の支援策(〇は支援策あり、△は検討中、―はなし)

都道府県名 財政支援

北海道 ○

宮城県 △

秋田県 ○

山形県 ○

福島県 ○

茨城県 ○

栃木県 〇

群馬県 △

埼玉県 ○

千葉県 ○

東京都 ○

神奈川県 ○

新潟県 ○

富山県 △

石川県 ○

福井県 ○

山梨県 ―

長野県 ○

岐阜県 ○

愛知県 ○

三重県 ○

滋賀県 ○

京都府 ○

大阪府 ○

兵庫県 ○

奈良県 ○

広島県 ○

山口県 △

高知県 〇

福岡県 ○

佐賀県 ○

熊本県 ○

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