ニュースを賑わせる“不祥事”の数々。組織ぐるみの大事件が耳目を集める一方で、最近とみに増えているのが、「フツーの会社員がとんでもない事件を起こす」という事例だ。「上司に叱られたくない」「ノルマが達成できていない」といった焦り。「会社に搾取されている」という不満。よくある悩みは、いつしか増殖して平凡な会社員を闇に落とす。そんな「明日は我が身」の実態に迫る!
<今どきの40歳が不祥事を起こすメカニズムとは>
◆「アラフォー以下は危険信号!」の理由
精神科医の春日武彦氏もまた、前回(http://nikkan-spa.jp/641136)紹介した「不正のトライアングル」の<正当化>の部分に注目する。
「しょうもない不祥事を起こす人には、『オレが正しい』みたいな傲慢さがあるんですよ。仕事のミスを隠蔽する裏には『クビになりたくない』という弱さと『上司が何もわかってないから悪い』みたいな反感が同居している。あるいは、横領しておきながら『薄給なんだから、そのくらいの権利はあるはずだ』と屁理屈をこねたりする。そこにあるのは『鬱屈した自己愛』。その意味では、いわゆる『新型うつ』とも親和性が高いように思いますね」
「自分を責める」傾向が強い従来型のうつと違い、新型うつでは「他人のせいにする」のがポイント。確かにそこには「鬱屈した自己愛」が感じられる。それは、アラフォー以下の世代の特徴でもある……と春日氏は言う。「この世代には『会社にいい思いをさせてもらったことがない感』が強いんです。就職氷河期以降に社会に出たのだから、仕方がないと言えばそうなのですが、その分、なるべく損をしないようにどこかでバランスを取ろうとしているフシがある。それが『仕事をナメてかかる』という形で出現したとき、不祥事に繋がるのでは。業績の水増しなんかも、いくらノルマがキツいとはいえ、基本的には仕事をナメた態度ですよね」
会社への忠誠心の低さを自覚しているアラフォー以下には「赤信号」が点灯していると心得よ。
「この手の不祥事が面白いのは、どう見ても苦しまぎれの悪事なのに、本人的には『考えに考え抜いたあげくの論理的帰結』のつもりであるということ。理屈に理屈を重ねて考え抜いて、その果てに大間違いの結論を引き出す人は多いんです。相談相手のいない“ぼっち”が陥りがちなワナですが、ヘタに一人で考えるくらいなら星占いに頼ったほうがマシですよ」
【春日武彦氏】