宮城県内各地で14日、小正月の伝統行事「どんと祭」が開かれるのを前に、仙台市青葉区北根の北根妙見神社で、祭り開催が取りやめになった。御神火をたい ていた広場が、ことしから使えなくなったためだ。地元住民からは「地域のお祭りがなくなって寂しい」との声が上がる。氏子は近隣の神社に参拝するよう呼び 掛けている。
北根妙見神社は、藩制時代の1627年に建立。伊達藩が相馬藩から戦利品として持ち帰った妙見尊像をまつる。道路の拡張工事に伴って約30年前、地元企業によって現在の場所に移された。
社務所は町内会の集会所も兼ねる地域の活動拠点だったが昨年3月末、企業と町内会との無償貸借契約が終了。どんと祭が行われていた約100平方メートルの広場や社務所の建つ土地を企業側に返還した。拝殿など一部の土地は今後も残る。
どんと祭には毎年約800人の地元住民が訪れ、甘酒やめざしの瓦焼きが振る舞われた。北根地区のほか隣接する双葉ケ丘や黒松からも住民が参拝に訪れたという。
近くに住む宮城教育大付属小4年の蘇武周君(10)は「どんと祭には家族と一緒に来ていた。もう来られないのは寂しい」と話す。地元で生まれ育ったという会社員の加茂敬司さん(39)は「幼いころから続いていた貴重な地域の祭りだったのに…」と惜しむ。
氏子の庄子実さん(77)は「移動手段が限られる近隣のお年寄りには不便を強いることになり申し訳ない。神社は変わらず残るので、これからも地域の神社として親しんでほしい」と説明。正月飾りは泉区の二柱神社などへ焼納するよう立て看板などで案内している。
市によると、市内のどんと祭開催場所は2005年が157カ所、10年が148カ所、ことしは143カ所と減少傾向にあるという。