伝統製法守る かつお節作り最盛期 気仙沼仮設工場

 生鮮カツオの水揚げ17年連続日本一を誇る気仙沼市で、かつお節の伝統製法「手火山(てびやま)」が守り継がれている。東日本大震災で被災し、再起した仮設工場でかつお節作りがピークを迎えている。
 同市松崎前浜の「かねたけ畠山商店」では、かまの熱気がこもった工場で、畠山孝志さん(66)と妻の哲子さん(61)がカツオを敷き詰めた木枠のせいろを入れ替えていた。
 数段に重ねられたせいろの上下を入れ替え、いぶしを均等にする。2~3カ月かけてじっくりいぶすため、手間は掛かるが、程よく脂が残ったかつお節本来のうま味と香りが出る。
 同市幸町にあった畠山さんの工場は震災の津波で全壊した。父親の武志さん(100)が修業先から譲り受けた約100年前の古いせいろだけが残った。再建を諦めかけたが「伝統の味を絶やすわけにはいかない」と、2012年7月に仮設工場で再スタートを切った。
 多い時には70を超す工場が軒を並べ、かつお節生産全国トップだった気仙沼市でも、消費量の減少で現在は3軒だけ。
 畠山さんは「いまの売り上げは震災前の半分ほど。経営は苦しいが、待っているお客さんのために体が動く限りかつお節を作り続けたい」とほほ笑んだ。

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