低コスト体育館売り込め 学校の老朽化対策を東京の企業が後押し、パートナーを募集

設計会社のJSC(東京)は、費用や工期を従来の半分以下に抑えて体育館を建設する工法を独自開発し、東北での受注獲得に乗り出す。小中学校などの体育館の老朽化が問題となっており、積極的に自治体などに売り込む。同社は15日に仙台市で説明会を開き、ビジネスパートナーとなる建設会社などを募集する。
 JSCの新工法の名称は「ローコスト(LC)トレーニングアリーナ・体育館」。体育館の一般的な規模の延べ床面積1500~3000平方メートル程度の場合、工期は5~6カ月、建設費は5億~10億円程度になる。
 構造専門の設計会社としてのノウハウを生かし、強度を保ちつつも鉄骨やコンクリートの量を減らして建設費の圧縮に成功した。工場で駆体を造って現地で組み立てることで工期を縮め、人件費も抑える。
 同社は2016年に新工法を開発。20年東京パラリンピックを目指す選手たちが練習する専用体育館「日本財団パラアリーナ」(東京)など既に2施設を設計・施工した。
 スポーツ庁の調査によると、全国には小中学校などの体育館が約4万3000棟あり、多くが築25年以上の要改修建築物とされている。同社は受注のターゲットが3万棟以上になると見込む。
 小規模のアリーナや体育館は、地方の施工業者や設計業者の情報収集力が高いことなどから、JSCは受注拡大に向けて連携する方針を決定。仙台など各地でビジネスパートナーを募集することにした。
 東北では冬季に降雪などで工事が遅れることが多く、工期が短い同社の新工法の需要が他地域よりもあるという。学校の体育館に加え、東北6県にはバスケットボール男子のBリーグチームがあり、アリーナの売り込みも進める。
 東北では、公共施設の建て替えで民間資金を活用する資本整備(PFI)が増えている。JSCの担当者は「地方自治体の財政は厳しいが、新工法を取り入れたり体育館を小規模にしたりすることでコストを削減できる。当社の技術力で社会課題を解決したい」と話した。

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