低迷するクックパッド…60代の株主が損切りを決意した理由

 新型コロナウイルスショックによって、株式市場は乱高下を繰り返している。そんな中、12月期決算の上場企業の株主総会が開催されている。コロナ以前から業績不振に陥っている企業は、今後をどう乗り切るのか。

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 株価が2880円(2015年8月)の最高値から大幅下落し、現在、270円前後の低空飛行を続けるのがレシピサイト最大手のクックパッド。19年12月期は117億5300万円の売上高に対して、営業利益はのれん代の減損損失7億6900万円の計上などで3億600万円。売上高は16年12月期の約70%に落ち込んでいる。

 12年、創業者の佐野陽光氏が社長の座を譲ったのが、女優・菊川怜の夫としても知られるカカクコム元代表取締役の穐田誉輝氏。やり手経営者として評判の高い穐田氏は市場に期待感を持って迎えられた。

「社長に就任後、多角化を推進。ウエディング、育児など、料理だけでなく生活回り全般に投資した結果、売り上げ、利益ともに向上。しかし、そこに水を差したのが佐野氏でした」(市場関係者)

 異変が起こったのは16年。大株主である佐野氏が「大きな歪みが出てきている」と穐田路線を批判。解任される形で穐田氏は突然クックパッドをあとにした。佐野氏が取締役に復帰し、「毎日の料理を楽しみにする」というミッションのもと、穐田氏時代に買収した料理と関係のない会社を売却。国内外のレシピサイトを軸に、新事業のクックパッドTVやクックパッドマートなど料理関連事業に全振りしたが、待ち受けていたのが長期低迷だった。3月24日に行われた株主総会に参加した60代の株主Bさんに話を聞いた。

「コロナの影響でマスク必着が義務付けられましたが、会場には50人もいませんでした。イギリスを拠点に海外事業に取り組んでいる佐野さんは、コロナの影響で出席できないという説明でしたが、出席者からは『オンラインでも参加できるのでは』と指摘されていました。社長の岩田(林平)さんはミッションに反して外食、宅配などにまだまだ奪われていると話していました。共働き家庭が増え、日常的に食事を作る手間をいかに省くかに腐心している家庭が多い中、クックパッドの理念と世間の実情にズレを感じるとともに、自らの投資の誤りを反省し損切りします」 クラシル、デリッシュキッチンなど後発のレシピ動画サイト勢に押されている感が否めない。17年からの10年間は投資期間として位置づけ、岩田氏は株主総会で「どうしたら料理が楽しくなるか、顕在化していないニーズを掘り起こしサービス開発していきたい」と話したというが、復活は果たせるのか。

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