体内潜在ウイルスの抗体保有率を調査へ 東北大とモデルナが共同研究

東北大東北メディカル・メガバンク機構(仙台市青葉区)と米モデルナ社は11日、体内に潜在するヘルペスウイルスの抗体保有率を調べる共同研究を開始したと発表した。機構が持つ宮城、岩手両県の妊婦らの追跡調査データを活用。胎児への影響やワクチン接種の必要性を検討する。

 調査するのはサイトメガロウイルス(CMV)とエプスタインバーウイルス(EBV)。多くの人が幼少期に感染し、ともに風邪と似た症状が出る。初感染が青年期の場合、まれに肝障害といった合併症を引き起こす。妊娠中に使える治療薬はなく、母子感染が起こると赤ちゃんに難聴や視力障害が生じることがある。

 研究では機構が2013~17年に長期健康調査の一環で収集した約2000人の血漿(けっしょう)を用い、抗体の有無を検査。妊婦の出産状況に関するデータも活用し、抗体の有無による胎児への影響を分析する。

 研究を取りまとめる児玉栄一教授(ウイルス学)は「衛生環境や家庭生活の変化で、近年は抗体を持たない人が増えている。例のない大規模の調査で現状を把握し、ワクチン接種の在り方を検討したい」と話す。

 期間は約2年間。機構とモデルナの日本法人は昨年3月、未来型医療の実現に向けた共同研究に関する覚書を結んでいた。

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