小学5年生の女児を持つ母親(50)は、4年生のときに娘の胸の膨らみが気になり始め、下着をどうするか、娘と話していた。すると、娘からこう打ち明けられた。
「体育の時間は、体操服の下に下着をつけてはいけない決まりになっているの」
頭に「?」が浮かんだ。最近の子は特に成長が早い。小学生も高学年になれば当然、体操服1枚というわけにはいかないだろう。驚いて先生に尋ねたところ、
「汗をかき、あとで体が冷えてしまうから下着は禁止しています」
という木で鼻をくくった回答。結局、4年生のうちは規則に従い、5年生からは周囲の状況も見ながら、暗黙の了解で下着をつけているという。
「体育のあとは下着を着替えればいいだけなのに、なぜその融通がきかないんでしょうか」
小学校2年生の男児を持つ女性(41)は、転校先の小学校でこの夏、息子の水筒に麦茶を入れて持たせたところ、思わぬ校則にひっかかった。
「この学校では水しかダメだというんです。仲良くなった保護者に聞いたら、なぜか分からないけれど、そういう決まりらしい。うちの子は水だと飲みたがらないので、麦茶でもOKにしてくれたらいいのに」
学校に理由を尋ねたいが、うるさい親だと思われそうなので、控えているという。
今回アエラが行ったアンケートでは、身の回りのおかしな校則や規則がたくさん寄せられた。
「自転車の色は黒か白かシルバーの派手でないものと校則で決められている。水色の自転車ではダメだというのでシルバーテープを貼ったけれど、いまだに納得できない」(女性46歳、岐阜県、子ども小4・中2)
「冬場のネックウォーマーは禁止なのにマフラーは可」(男性26歳、東京都、公立高校教員)
「自由帳が禁止。友達の悪口を書いた子がいたそう」(女性46歳、岐阜県、子ども年長・小5・中1)
このように、一般的には「ヘン!」と思わざるを得ない決まりが学校の中には多い。
その証拠に、相反する校則がある。「女子が髪を束ねる位置は耳より上」という中学校もあれば、「耳の上でポニーテールを結んではいけない」という中学校も。つまり、どちらでも学校生活に大きな支障はないのではないか。
高校1年生の娘を持つ都内の女性(49)は言う。
「娘の学校では、靴下は『高校生らしい黒か紺』と決められています。でも友人の子が通う学校は『高校生らしい白』」
いったい「高校生らしい」って何なんだろうか。この女性は、正直、黒でよかったと思っている。白の靴下は汚れが目立って洗うのが大変だと友人はぼやく。親にとっては、洗濯しやすいという“機能性”のほうがよほど重要なのだ。
親たちの反発が大きかったのは、子どもの危険につながる決まりだ。小1と中1の子どもを持つ都内の女性(44)は指摘する。
「うちの子の小学校では、登校した児童が、開門まで中に入れず、校門前の道路にたまっている。年々開門時間が遅くなる傾向。学校の前はスクールゾーンとはいえ、危険だと思う」
アンケートでは、「一斉」や「一律」を重視する校則への疑問や不満も多く集まった。親たちが憤るのは、それらが子どもの健康も害するからだ。
ある中学校は「寒くなっても衣替えの日までは夏服のままで、上着などはいっさい着用不可」だ。「氷点下の教室でもひざ掛け使用禁止」というガマン大会のような校則もあった。
反対に、「暑くても、指定された日が来るまで水筒を持参してはいけない」や、「学校が決めた帽子がないので、暑い日も帽子をかぶってはいけない」なども。熱中症になりかねない。
アンケートで集まったヘンな校則や決まり。それらは「本当に子どものためか」を考えねばならない。