2016年リオデジャネイロ五輪体操女子代表の宮川紗江選手(18)の告発に端を発した、日本体操協会のパワハラ騒動。なかでも、“加害者” として名前が挙がったのが、塚原千恵子女子強化本部長(71)である。
報道を受け、2012年ロンドン五輪体操女子代表の田中理恵氏(31)は、「いろんな形での助け方があります。私もさえのためにも、選手たちのためにも、協力します。心配で仕方がない」(原文ママ)とツイッターに投稿した。
2013年12月に現役引退を発表した田中氏だが、じつは彼女も、現役時代に千恵子氏から高圧的な発言を受けていた。体操協会関係者がこう証言する。
「田中さんは、2012年のロンドン五輪に出場後も、現役続行を表明していた。というのも、2015年秋に田中さんの地元・和歌山で国体が開催されたのだが、それを引退試合にしたいという思いがあったから。協会幹部や和歌山県の自治体関係者など、周囲の人たちもそれを強く望んでいました」
ところが、田中氏の引退の花道に突如嚙みついたのが、ロンドン五輪の体操女子代表の監督を務めていた千恵子氏だった。
「当時、田中さんは腰痛に悩まされ、リハビリを続けていた。だが千恵子氏は、『試合に出場できないなら、中途半端なことやっていないで早くやめて、タレント活動にでも専念すればいい』と“引退勧告”とも取れる暴言を吐いたのです。
それまでも千恵子氏は、体操界のアイドルと注目を浴びていた田中さんに、やっかみとも取れる苦言をたびたび呈していました。
結局、田中さんは千恵子氏の圧力に屈する形で、地元での国体出場を断念し、現役を退くことになったんです。このときも、今回のように事情を知る多くの体操関係者からは、田中さんに対して同情の声が上がっていました」(同前)
元体操選手で、アイドル歌手グループの一員としても活躍した信田美帆氏(46)も、指導者だった千恵子氏の被害者の一人だったという。
「信田さんが、1987年の世界選手権に出場したときのことです。跳馬で着地に失敗して、脳震盪を起こしてフラフラになっている信田さんに対して、コーチとして同行していた千恵子氏は、会場内の救護室に連れていくどころか、何度も頬を平手打ちしたんです。
この現場をたまたま見ていた海外チームの選手やスタッフは、『日本のコーチはクレイジーだ』と、戦慄の表情を浮かべていました」(別の体操協会関係者)
日本体操協会に、田中氏や信田氏に対するパワハラ疑惑について回答を求めたが、「(FLASHは体操協会が)取材NGとしているので、この質問については回答をお断わりします」との返答だった。
今回のパワハラ騒動を受けて、日本体操協会は臨時の総会を開き、弁護士ら有識者で構成する第三者委員会の設立を発表。塚原本部長は、謝罪のファクスを出したが、これで問題が解決したわけではない。まだまだ予断は許さない。