子供の使い捨てライター誤使用による火災を防ぐため、27日から従来の使い捨てライターの販売が禁止される。販売が許可されるライターは、子供が操作しにくい機能を搭載した商品に限定。禁止されるのは販売だけで所持するのは問題ないが、子供の火災を防ぐためにも管理には気をつけたい。(森本昌彦)
◆認知度いまひとつ
販売禁止の対象となるのは、ライターのほか、線香やロウソク、花火などに火をつける際に使う点火棒。子供が簡単に着火することができないチャイルド・レジスタンス(CR)機能を持ち、消費生活用製品安全法で規定されている「PSCマーク」が付いた商品以外は販売できなくなる。
ライターを製造するメーカーは既にCR機能を搭載した使い捨てライターを発売。子供が火をつけにくいよう、点火ボタンを重くしたり、2段階の操作をしないと点火しないタイプが店頭に並んでいる。
販売禁止の対象となるライターを回収する事業も始まっている。東京都は6月から、都たばこ商業協同組合連合会に加盟する小売店に回収ボックスを設置。9月末まで家庭などから持ち込まれたCR機能のないライターを回収し、10月から東京産業廃棄物協会が収集・処分する予定だ。
東京・新橋のたばこ店「王子」でも7月末から、ライターの回収を受け付けている。しかし、これまでに集まったライターは2、3個にとどまっている。
◆回収時の火災も
ただ、禁止されるのは販売のみで、顧客へのサービスとして無償で提供されるものは対象外。過去に購入したCR機能を搭載していないライターを使用することも禁止ではない。
メーカーなどには「CR機能の付いたライターは使いづらい」というような声も寄せられており、従来製品を使い続ける人もいるだろうが、くれぐれもライターの管理には気をつけたい。
ライター製造・輸入業者などでつくる日本喫煙具協会(東京都台東区)は「子どもを守るライター4か条」として、(1)子供の手の届くところに置かない(2)子供に触らせない・点火させない(3)ライターの火遊びを見たら、すぐに注意してやめさせる(4)理解できる年齢になったら子供に火の怖さを教える-ことを挙げている。
これまでの使い捨てライターを捨てる際にも注意が必要だ。消費者庁が昨年6~7月、全国99市町村を対象にした調査によると、回答した自治体の39%がごみ収集や処理時にライターが原因と疑われる事故を把握していた。
事故の中にはライターに残っていたガスが原因で他のごみに引火・出火したケースもあり、ガスをきちんと抜いてから、自治体の定めた方法で廃棄したい。日本喫煙具協会のホームページ(http://www.jsaca.or.jp/index.html)で、ライターのガスの抜き方を紹介している。家庭での取り扱いだけでなく、廃棄する際にも安全に考慮したい。
■火遊びによる火災 ライター原因は5割
火遊びによる火災の実態について消費者庁などが分析したところ、平成11~20年に全国で起きた火遊びによる火災3万2108件のうち、発火源がライターだったものは53%を占めた。
政令指定都市では16~20年、ライターが発火源となった火遊び火災が約1300件発生。このうち500件以上が12歳以下によるものだった。政令指定都市での火遊び火災でライターが発火源で製品が判明した事例を調べたところ、使い捨てライターは86.1%で注入式(5.7%)などを大きく上回った。
≪使い捨てライターの販売規制≫
子供の火遊びによる事故防止策として、経済産業省が昨年末に販売規制を開始。9カ月の経過措置を経て今月27日以降、安全基準に適合したことを示す「PSCマーク」のない使い捨てライターを販売すると、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金に処される。