修学旅行、被災地へ パンフ作製

 旧仙台藩ゆかりの自治体を中心に岩手、宮城、山形3県の10市町と関係団体でつくる「伊達な広域観光推進協議会」は今月、東日本大震災以降、需要が高まっている防災教育を軸にした修学旅行の誘致を本格化させる。市場調査に基づき、セールスポイントを凝縮したパンフレット2万部を作製。担当者が関西や中部、北陸地方を訪ね、震災の記憶や世界遺産など学習拠点が集まるエリアを売り込む。
 パンフのタイトルは「伊達な学び旅」で、A4判見開き。中面に「防災学習」「世界遺産・平泉」「日本三景・松島」「松尾芭蕉」のテーマごとに、代表的な場所や施設、モデルコースを紹介。体験学習のプログラムとして、被災地でのボランティア活動や震災の教訓を踏まえた防災・減災講座など16プランを提案している。
 パンフは既に、仙台空港と定期便がある都市や首都圏の中学、高校約1500校などに送付した。10月上旬からは大阪市や名古屋市などで、旅行代理店や学校関係者ら向けに説明会を開く。
 推進協は、昨年11月からことし3月にかけて、仙台空港から定期便がある九州、関西、中部、北陸など7地域の中学、高校計700校と主要旅行会社28社を対象にアンケートを実施。定番の農業体験や民泊の注目度が低い一方、防災や復興関係の学習に関心が高いことが分かり、パンフの構成やPR計画に反映させた。
 事務局の仙台市観光交流課の担当者は「修学旅行担当者には各地から多くの資料が届き、情報を詰め込んだ総花的な冊子では埋もれてしまう。関心が高い項目を絞り込み、目を引くように工夫した」と話す。
 推進協は2008年、旧仙台藩に属した岩手、宮城両県の7市町で発足。現在は岩手県平泉町、奥州市、一関市、宮城県南三陸町、松島町、気仙沼市、大崎市、塩釜市、仙台市、山形県最上町の6市4町で構成する。
 事務局によると、構成自治体の教育旅行の受け入れ状況は、10年に2059校の11万9330人だったのが、震災があった11年には1141校7万3418人に激減。翌12年には2087校12万9253人に急増した。

タイトルとURLをコピーしました