修学旅行費盗み、女児の着替え盗撮…小学教諭の卑劣犯行

奈良市の市立小学校で昨年、校長室の金庫から現金約38万円が盗まれる事件があり、この学校に勤務する教諭の男(25)が窃盗容疑で奈良県警に逮捕された。

 事態はこれにとどまらず、男は女子児童の着替えを盗撮したとして、児童買春・ポルノ禁止法違反などの疑いでも再逮捕された。「背徳感やドキドキ感を味わいたかった」。そう供述した男は両方の罪で起訴され、懲役3年、執行猶予5年(求刑懲役3年)の判決を言い渡された。裁判官が「卑劣」「おぞましい」と表現した犯行の全容とは-。(石橋明日佳)

 公判や県警の調べなどによると、昨年5月、6年生(110人)の修学旅行のための小遣い(預かり金)33万円と、教育実習の教材費などの積立金約5万円の計約38万円が校長室の金庫から盗まれていたことが分かった。金庫をこじ開けたような形跡はなく、金庫の鍵は職員室に置かれ、誰でも取り出せる状態だった。

 学校からの被害届を受け捜査していた奈良県警は9月中旬、窃盗容疑で同校の教諭の男を逮捕した。男は「借金の返済のために盗んだ」と供述。学生時代に競馬や競艇を始め、教員になってからもストレス解消のためギャンブルにのめり込み、親や同僚、消費者金融から金を借り、総額約300万円の借金があった。

 同僚が帰宅した後、残業中に犯行に及んだといい、「レースで資金を増やしてから戻そうと思った」などと話した。

 ところが、男による犯行はこれだけではなかった。県警が窃盗容疑の捜査を進める中、押収した男のスマートフォンから、女子児童を盗撮した多数の動画が見つかったのだ。

 男は6~8月、6回にわたって女子児童11人の着替えを盗撮。担任を受け持つ教室や多目的室、更衣室のカーテンや空き箱に穴をあけ、そこにスマホを貼り付けておいて隠し撮りするという手口だった。さらに教室で女子児童の衣服に下半身をこすりつけて体液を付着させ、その一部始終をスマホで撮影もしていた。

 男は一連の犯行について「盗んだことがばれ、いつ捕まるか不安定になり突発的にやった。してはいけないことをする背徳感やドキドキ感を味わい、気持ちを落ち着かせた」と公判で打ち明けた。

 昨年12月、奈良地裁で開かれた判決公判で、中山登裁判官は「児童の健全育成に寄与する職責を担っていた被告がした行為は言語道断で、おぞましい」と強く非難。「卑劣で悪質性が高い」として懲役3年、執行猶予5年の判決を言い渡した。

 中山裁判官は判決言い渡し後、「教師としての能力も高く、同僚らからも信頼を得ていた。しっかりと罪を償い、更生してほしい」と説諭した。男は「たくさんの人に迷惑をかけ、裏切ってしまった。申し訳なく思っている」と謝罪し、「自分にできることは一生をかけて謝罪の気持ちを持ち続けること。真面目に一日一日頑張りたい」と涙ながらに話した。

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