日本銀行が21日発表した2020年7〜9月期の資金循環統計(速報)によると、9月末時点で個人(家計部門)が保有する「現金・預金」は前年比4・9%増の1034兆円で、過去最高を更新した。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、消費を抑えて手元にお金を置く傾向が続いている。
内訳は、現金が5・8%増の97・4兆円、預金は4・8%増の937兆円で、いずれも過去最高を更新した。日銀の大規模な金融緩和で預金の金利はほとんど付かないものの、大きく伸びた。政府による一律10万円の特別定額給付金の支給もあり、「タンス預金」が増えた可能性がある。
株式なども含めた個人の金融資産の残高は2・7%増の1901兆円と過去最高で、現金・預金が占める割合は54・4%となった。金融資産のうち「株式等」は1・8%減の181兆円、「投資信託」は1・6%増の72兆円だった。
金融機関を除く民間企業の金融資産は6・1%増の1215兆円だった。このうち「現金・預金」は14・3%増の309兆円で過去最高となった。経済の先行きが不透明なことから、企業は手元資金を確保する姿勢を強めている。