内閣府がこのほど公表した日本経済の現状や課題を分析する報告書「日本経済2019―2020」によると、19年の月間平均労働時間(パートを除く)は製造業で前年より3・5時間、非製造業で2・9時間それぞれ減少した。働き方改革に伴う残業の減少と有給休暇の取得が進んだのが主因。ただ、長時間労働の男性は欧米諸国より依然多く、30歳代女性の労働参加率を抑制しているとしている。
平均労働時間の減少は、働き方改革関連法が19年4月に施行され、全業種で年5日の有給休暇取得が義務化されたほか、大企業で月45時間を上限とする残業時間規制の導入が大きい。17年は製造業で前年比0・3時間増、非製造業で0・1時間増、18年は製造業で0・3時間減、非製造業が1・4時間減だったが、19年はそれぞれ大幅に減少した。製造業は残業減少が、非製造業は有給取得の進展が、それぞれ労働時間削減に大きく寄与した。
一方、働く男性に注目すると、27%が週49時間以上働いており、ドイツの13%、フランスの16%と比べ多かった。報告書は、先進国では長時間労働の男性が多いと、30歳代女性の労働参加が進まない傾向があることも分析。内閣府は「女性の労働参加と男性の長時間労働抑制は、同時に解決すべき課題」と指摘している。【森有正】