元TOKIO山口達也さん、飲酒運転防止インストラクターとして「体験と悔悟」語る…福岡3児死亡事故18年

福岡市の3児死亡飲酒運転事故から25日で18年となる中、飲酒運転事故を起こした加害者らがアルコールの危険性を訴える活動が広がっている。アルコール問題に取り組むNPO法人が認定した「飲酒運転防止インストラクター」で、人気アイドルグループ「TOKIO」元メンバーの山口達也さん(52)もその一人。自身の体験と悔悟の念を打ち明けながら、飲酒に関する正しい知識を伝えている。(岡林嵩介)

「お酒をやめたとは一生言えません」

自身の体験を通し、飲酒の危険性を語る山口さん(18日、堺市で)

自身の体験を通し、飲酒の危険性を語る山口さん(18日、堺市で)© 読売新聞

 「命をつなげております。お酒をやめ続けています。しかし、お酒をやめたとは一生言えません。依存症なので」。堺市の福祉施設で18日、山口さんがアルコール依存症患者やその家族、医療関係者ら約400人を前に語りかけた。

 飲酒して未成年にわいせつ行為をしたことが発覚し、2018年に所属事務所との契約を解除され、20年には酒を飲んでオートバイを運転して事故を起こし、逮捕された山口さん。22年にインストラクターの認定を受け、飲酒運転防止に向けた講演を行っている。現在、直接の取材を受けていないが、講演の取材は認められた。

 講演によると、山口さんは20歳代からよく酒を飲んでいたが、芸能界の仕事に追われる中、自身を肯定できず孤独感にさいなまれ、次第に酒量が増えた。事故時は泥酔しており、運転した約30分間の記憶はほぼなく、気づけば留置場。幻覚や幻聴などでのたうち回り、警察官にも暴言を吐いたという。その後、医師の診断を受け、初めて依存症と自覚した。今は周囲への感謝と自分を褒めることを心がけて生きているという。「自分が依存症患者であることを忘れない」。自分に言い聞かせるように語って講演を終えた。日産キャラバン プロスタイル!プロが求めたオンリーワン

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 主催した金岡中央病院の高野善博・院長補佐(62)は「赤裸々に語ってくれ、説得力があった」とし、聴講した依存症患者の男性(57)は「同じ目線で話をしてくれた。断酒に向けて気持ちを新たにできた」と語った。

「インストラクター」6400人認定

 インストラクターの養成を行うのは、NPO法人ASK(アルコール薬物問題全国市民協会、東京)。福岡市の3児死亡事故などを受け、飲酒運転をなくすにはアルコール教育が必要だと考え、08年から養成を始めた。同法人の前身は一気飲みや未成年の飲酒などの問題解決を目指し、1983年に設立された団体で、2000年にNPO法人となった。

 認定を受けるには、アルコールに関する知識などを学ぶ講座や研修など約1年間にわたって取り組み、審査を経る必要がある。08年度の認定数は290人だったが、23年度は439人に増え、これまでに計約6400人が認定された。

 インストラクターになったのは、加害者ら依存症患者のほかに、業務で車を使う企業の担当者、元警察官らで、少なくとも延べ約10万人に対し研修を行ってきた。特に加害者側による研修は「言葉に重みがある」と評価が高いという。

加害者家族からインストラクターに

 加害者の家族がインストラクターになったケースもある。沖縄県豊見城市の大田房子さん(66)は、夫の元章さん(68)が1994年、飲酒運転事故を起こし、女性に重傷を負わせた。酒臭を漂わせる元章さんに代わり、大田さんが女性に繰り返し謝罪し、事故後も飲酒してトラブルを起こす夫の対応にも追われるなどした。「私が駄目なんだ」と自身を責め続けた時期もあった。

 元章さんは事故から約4年後に参加した断酒会をきっかけに酒をやめられたが、大田さんは3児死亡事故を知り、「加害者の家族だからこそできる話があるかもしれない」と2009年にインストラクターになった。「加害者となればその家族もどれほど苦しむことになるのか。アルコールが体に与える影響などの知識を伝えたい」と語る。釣り 道具 通販が最大90%Off - Temu在庫処分セール - 釣り 道具 通販が現在お買い得

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 ASKの今成知美代表(68)によると、依存症になると自身の意思では飲酒をコントロールできず、震えや多汗などの症状が酒を飲むと消えるため、飲酒運転してでも酒を買い求める患者もいるという。今成代表は「飲酒運転は、依存症と切っても切り離せない」と言い切る。

 飲酒運転の問題を研究する小佐井良太・福岡大教授(法社会学)は「アルコールの正しい認識が飲酒運転防止への第一歩。当事者らの話は切実で、聞く人に強く響くはずだ。飲酒運転事故の背景に依存症の問題がある。当事者らによるこうした活動を通して、飲酒運転の防止には依存症問題への取り組みが不可欠であることをさらに社会に浸透させるべきだ」と指摘する。

 ◆ 3児死亡飲酒運転事故 =2006年8月25日夜、福岡市東区の海の中道大橋で、飲酒運転をしていた市職員(当時)の男の車が一家5人の乗った乗用車に追突して逃走。乗用車は約15メートル下の海に転落し、1、3、4歳のきょうだい3人が死亡した。福岡高裁は男に危険運転致死傷罪を適用し、11年11月、最高裁で懲役20年の判決が確定した。

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