元F1ドライバーのトゥルーリさん 被災地への思い、今も

スポーツランドSUGO(宮城県村田町)で17、18日にあった全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権に、元F1ドライバーのヤルノ・トゥルーリさん(48)が特別な思いで参加した。2011年に東日本大震災の被災地を応援しようと特製ヘルメットでレースを走り、チャリティーオークションの収益を寄付するなど尽力。「新しい一歩を踏み出す手助けをしたい一心だった」と振り返った。(多賀城支局・浦響子)

「がんばれ、東北!」のヘルメットを装着して出場

 「あの時と同じだ」。11年3月、トゥルーリさんは被災地の映像に胸を痛めた。09年のイタリア中部地震で故郷にほど近いラクイラが大きな被害を受け、トゥルーリさん宅にも被災した友人が身を寄せた。当時の状況と東北が重なった。

 F1では09年まで6季トヨタに所属するなど、日本は元々なじみ深い国だった。「被災地に強いメッセージを送りたい」と考えた末、日の丸や「がんばれ、東北!」の文字をあしらったヘルメットを装着して11年の世界選手権に出場。スポンサーを全て外す異例の行動は大きな反響を呼んだ。

宮城・村田のレース、特別な思いで参加

 11年秋には被災地支援のための基金を設立。チームと同僚に呼びかけてマシンの部品やグッズを集め、日本のファンクラブが中心となって東京でチャリティーオークションを開催した。

 収益金約600万円を石巻市、南三陸町など宮城沿岸の20病院に車いすなどの形で寄付。「被災でけがをした人に、日常生活を取り戻すきっかけにしてほしい」との思いからだった。

 「日本の人たちにずっと支えられてきたので、恩返しをしたかった。自分一人ではなく、日本の仲間たちとの共同作業で支援ができたことが何よりうれしい」

 翌12年にF1を引退。長男エンツォさん(18)が今年、全日本F3選手権が前身のスーパーフォーミュラ・ライツ選手権に参戦し、ドライバーコーチとして震災後初めて宮城を訪れた。期間中は県内のファンとも交流し、被災地の復興状況を語り合った。

 トゥルーリさんは「息子もレースに参戦することになり、日本には深い縁を感じている。これからも日本のために自分にできることを考えたい」と語った。

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