先端技術育成、研究者公募し官民協議会…経済安保で「けた違い」の資金

政府が経済安全保障の強化に向けて検討している先端技術育成策の概要が、分かった。関係省庁と研究者による協議会を新設し、国家的に重要な技術分野を選定して官民で開発を図る。研究者らにも守秘義務を課す。研究資金は、将来的に5000億円規模とする「経済安全保障基金」などから支出する。(写真:読売新聞)

 複数の政府・与党関係者が明らかにした。

 新設するのは「重要技術研究開発協議会」(仮称)。国家安全保障局(NSS)や内閣府、防衛省、文部科学省など関係省庁幹部と研究者がテーマごとに意見交換しつつ技術開発を進める。

 協議会で扱うのは、国の防衛だけでなく、国民生活や経済の発展に欠かせない技術分野全般となる。具体的には、多数の小型衛星を連携させて地上の情報を収集する衛星コンステレーション関連技術や、マンモグラフィー(乳房エックス線撮影)を始めとした医療に有益な透視技術などを想定している。政府が2023年度に創設する経済安全保障に関する調査研究機関からも助言を受ける方向だ。

 研究者は公募で集め、政府側から開発テーマを提案することも検討している。特に外国への情報漏えいには細心の注意を払う。守秘義務を課す対象は協議会メンバーの研究者と、研究者の所属機関の共同研究者など、機微情報に触れる可能性がある人とする考えだ。国家公務員法では、職務上知り得た秘密を漏らした場合の罰則は1年以下の懲役か50万円以下の罰金と定められており、これに準じた規定を念頭に置いている。

 政府は、研究資金を支出する「経済安全保障基金」に21年度補正予算で2500億円を計上している。基金は5000億円規模とする見通しで、「従来とはけた違いの支援が可能」(政府高官)となる。

タイトルとURLをコピーしました