仙台市の児童文学作家佐々木ひとみさん(60)の新刊「エイ・エイ・オー! ぼくが足軽だった夏」(新日本出版社)は、ひょんなことから市の観光PR集団に加わった少年のひと夏の成長物語だ。佐々木さんは「本を通じて、物事に一生懸命に取り組む素晴らしさを伝えたかった」と話す。(沼倉淳)
一生懸命取り組む大切さ 「伊達武将隊」モデル2作目
主人公は小学5年の仙田直紀。「奥州・仙台おもてなし集団 杜乃武将隊」の伊達政宗役の男性と出会い、夏の間だけ、武将隊に足軽として参加しないかと誘われる。
家族や隊員に支えられて奮闘する直紀。仙台のために力を尽くす隊員の思いや東日本大震災を巡る人生模様に触れ、おもてなしや助け合いの心、郷土愛など人生で大切なことを学ぶ。
佐々木さんにとって、杜乃武将隊をメインとした小説は2018年の「兄ちゃんは戦国武将!」(くもん出版)に次いで2作目。武将隊のモデルは「仙台の観光の顔」として活動する伊達武将隊だ。前作に続き、イラストレーターの浮雲宇一さんが挿絵を手がけ、物語に躍動感を与えている。
青葉区の市天然記念物「子平町の藤」、紅葉のライトアップを行っている宮城県松島町の円通院など、伊達家に縁の深い仙台市内外の名所も登場する。佐々木さんは「歴史を継承し、まちを支えようとする人たちに多くの人が目を向けてほしい。今後も自分が暮らすまちが、いとおしく思えてくる物語を紡いでいきたい」と語る。