全国からツバメの巣集め原発影響調査 山階鳥類研究所

東京電力福島第1原発事故で放出された放射性物質が生態系に及ぼす影響を調べるため、山階鳥類研究所(千葉県)が、全国からツバメの巣を集めている。
 ツバメは、放射性物質がたまりやすい水たまりの泥などで巣を作る。鳥類は食物連鎖の上位にあり、餌を通じ高い被ばくをする可能性もあるため、個体に異常がないかの調査も検討している。
 研究所によると、ツバメは春先、主に東南アジアから日本に飛来。夏に繁殖し、秋には戻っていく。
 巣はカラスなど天敵を避けるため、民家の軒下など人間の生活圏に作る。水たまりや水田の泥をくわえて運び、くちばしで塗り固めていく。
 チェルノブイリ原発事故後、原発周辺で羽が白くなったり、短くなったりしたツバメが見つかったという報告もあるといい、岩見恭子研究員は「巣が汚染されていれば、ひなに悪影響が及ぶことも考えられる」と言う。
 福島県内の野鳥の会にも協力を呼び掛けており、採取した巣を、場所や周辺環境の記録とともに送ってもらう。放射性物質の測定は国立環境研究所が行う。
 巣の取り方など詳細は山階鳥類研究所のホームページで。昨年繁殖が行われた巣が対象で、今春の渡りの前まで続ける。ひながいなくなった巣は冬の間に自然と落ちることが多く、取った場合でもまた新たに作るとみられるという。

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