11月26日、三重県桑名市は客が店員や従業員などに理不尽な要求をしたり、迷惑行為を行うなどの「カスタマーハラスメント(カスハラ)」の防止条例案を発表した。12月議会に提出し、2025年4月の施行を目指すという。
政治担当記者はこう話す。
「桑名市の条例案では、カスハラを『要求の内容に妥当性がなく、就業者の労働環境が害される恐れがある行為』と定義しています。この条例案の特徴は、カスハラをしたと認定した人の氏名を公表するという制裁措置が盛り込まれていることです。制裁措置は全国初だそうです。
カスハラ認定した人にまずは警告し、それでも従わない場合には委員会の意見聴取などを経て公表に踏み切るということですから、いわゆる“カスハラモンスター”対策ということでしょう。
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同じ26日に北海道議会では、カスハラ防止条例が可決されました。2025年4月の施行を目指しています。こちらのカスハラの定義は『社会通念上、不相当で就業環境が害される行為』ですが、罰則規定はありませんから、桑名市の条例案は画期的と言えます」
桑名市の伊藤徳宇市長は、26日の記者会見で「条例を制定することで、安全、安心に働ける環境をつくりたい」と語ったという。
この条例案には、X上では、賛同の声が相次いでいる。
《うちの職場でも大至急やってほしい。クレーマーの爺さんの相手させられるの勘弁してほしい》
《桑名市のカスハラ条例 英断だな、全国に拡がればいいのに》
《カスハラをやった人間の氏名公表の条例案ですか…そういうのは、どんどんやったほうがいい。それくらいの覚悟が無ければ、あらゆる批判などしてはならないと考えます》
一方で、なかには慎重派の声も。
《うーん…カスハラ対策ねぇ。私はなんか違うと思う。 ハラスメントには毅然と対応する。 ただこれだけなのに、揉め事に責任を取りたくない人たちが前衛で働く人を守らない風潮が問題だよ》
カスハラ対策については、条例化の流れが各地で始まっている。東京都議会でも、2024年10月4日に全国で初めてのカスハラ防止条例が全会一致で可決・成立しており、2025年4月1日から施行される。
前出の記者がこう語る。
「東京都の条例はカスハラを『客から就業者に対しその業務に関して行われる著しい迷惑行為で、就業環境を害するもの』と定義し、『何人もカスハラを行ってはならない』などと規定しました。ただし、桑名市とは違い、罰則はありません」
11月14日、10月中旬に名古屋市営バスの運転手に「お前、降りろ」と怒鳴った20代の男が、バスの運行業務を妨げた威力業務妨害の疑いで逮捕された事例もある。
厳しいカスハラ防止条例が、全国に拡がるのは時間の問題かもしれない。